一人で戦い抜かなきゃ得られない高揚感

まず、服でもアクセサリーでも、センスの合う人を探すのが難しい。「趣味や価値観が同じ人は、自然と自分の周りに集まってくる」という言葉があるそうだけれど、あれは絶対に嘘だと自分の周りを見渡しながら思う。
センス以外にも欲しいものが同じであるとか、お財布の事情がどうとか、色々考えてみるけど、何もかもが同じ人なんて、そう滅多に見つけられない。だから、誰かと一緒に買い物に行く機会があっても、自然に“付き合う”か“付き合わされる”かのターンになってしまう。2人で買い物をするには、どちらかの時間を犠牲にしなければならないなんて、あまりにも悲しすぎる。

それだけじゃない。私にとっての買い物は、自分との闘いみたいな一面がある。
この時だけは集中力が高まり、通常よりも計算が2倍ほど早くなる。お金もかかるし、今後自分の身に着けるものだからひとりできちんと考えたい。今見ているものが、自分に本当に必要なのかを見定めたい。試着してみて、イマイチだったこともある。散々悩んだ挙句、買わないことだってある。だから、「もしかしたら、あっちの店のデザインの方がいいかも?」なんて思ってしまったとき、誰かを付き合わせてしまうのは申し訳なさすぎる。やっぱり、誰かと買い物に行くのは難しい。

そして何より、一番は私自身の趣味の問題がある。私は、「それ、どこで買ったんだ!」と突っ込まれるくらい派手な服やアクセサリーを身につけることが多い。
年齢を重ねたからなのか、顔が地味だからなのか、トレンドを一切無視した装いをすることが多くなった。見た目くらい、自分の好きなようにしたい。毎日好きなものを身につけて、幸せな気持ちに包まれていたいじゃないか! と思っている。こんな趣味になってしまうと、他の人を巻き込めない。

お気に入りの一品を購入した後の、じわじわと迫る高揚感もたまらない。勇者は、レベルアップをしてから武器を買いそろえる。私の場合は、洋服とアクセサリーを買いそろえることによってレベルアップしている気がする。
自分だけの宝物を手に入れたような、どこに身につけるのか考えただけでニヤニヤしてしまうようなあの感じは、多分一人で、自分自身やお財布と戦い抜いた後でなければ味わえないんだと思う。

秋服は、もう遅いかもしれない。そろそろ冬にも着られるような服を買いそろえなければ。思いっきり、派手なやつ。服を買うなら、履き倒せるブーツと、大振りなピアスが欲しい。

Text/あたそ

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ひとりより誰かといる時。どうしようもなくさみしくなるのはなぜだろう。

※2017年10月11日に「SOLO」で掲載しました