今日は何だったんだろう…
その年の誕生日。恋人は日中は仕事だというので、わたしは近所の堤防で海釣りをして過ごし、夕方に帰ってきた恋人に「せっかくだから焼肉でも食べにいかない」と誘った。「うーん、焼肉はいいや」というので、「じゃあ、何でもいいから外で食べようよ」と譲歩すると「今月厳しくて」と外食シャットダウン。でも一応は盛り上げたいという気持ちで、家計からお金を出して肉などを買い、ちょっとくらいは豪華なご飯を慌てて用意をした。恋人に拘束されていなかったらひとりで外に好きなものを食べに行けたのになぁ、なんてかすかな不満を持ちつつ料理を仕上げて食べ終えたところで、DVDでも観ようかという話になり、これまた恋人のリクエストのB級どころかZ級くらいのどうでもいいJホラーを観ることになった。
しかし、すぐに恋人はウトウトし始め、「寝るなら布団で寝たら?」と起こしても「いや、まだ寝ない」と首を横にふったのも束の間、再び船を漕ぎ始める。せめて寝室に行ってくれたら、別の映画に変えることができるのに。まったく観たくもないJホラーが終わったところで、ようやく寝室に引き上げていく背中を見ながら「セックスもなしか」と落胆しつつ、ひとりぽつんとリビングに残されて「今日という日は、なんだったんだろう」と憮然とした思いでひとりで安ワインのキャップを捻りつつ、パーティーともいえないパーティーの後片付けををした。
これがクリスマスであれば、そこまで悲しい気持ちにはならなかった気がする。だってクリスマスは別にわたしにとって特別な日ではない。しかし、誕生日はわたし自身でわたしを祝いたい日であり、とにかく好きに過ごしたい特別な日。面倒くさいこだわりといわれても、あるのだから仕方ない。ちなみに今年の誕生日当日は最高の過ごし方ができました。具体的には秘密です(ハート)。
Text/大泉りか
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