バイブはなぜ生まれたのか――治療としての手マンとお医者さま

バイブはいつからあったのか?

服部恵典 東大 院生 ポルノグラフィ 研究 Josh Willink

バイブレーター。それから、電マ。
AMの連載「ラブグッズのある生活」でも何度も紹介され、AM SHOPでも爆売れしている、大人のオモチャの王。

ちなみに日立が作った電気マッサージ機「日立マジックワンド(Hitachi Magic Wand)」は、海外では最も有名なラブグッズの1つといっても過言ではなく、Wikipediaにページが用意されているほどである(参考)。ああ、HENTAIの国・日本のものづくりのすばらしきかな。
その快感たるや、まさに「魔法の杖(Magic Wand)」。賢者の石にあてがえば、秘密の部屋からポッターポッターである。
ヴォルデモートばりの「名前を言ってはいけないあの棒」だったバイブや電マは、最近では部屋に置いてもそれとバレないようなデザイン性に優れたものも続々と発売されて、カジュアルな存在になってきた。
AM読者のみなさんなら、1本や2本はクローゼットの奥にしまっていたって珍しくもなんともないだろう。

ではこのバイブ、一体いつからこの世に存在したのか?
考えたこともないかもしれないが、感覚的に2、30年くらい前。それよりさかのぼってもせいぜい戦中戦後ぐらいをイメージしたのではないだろうか。

だが、レイチェル・P・メインズ著『ヴァイブレーターの文化史』によれば、実はバイブが生まれたのは19世紀後半のことである。
1870年代には、ぜんまい式のもの、蒸気機関で動くものが発明されており、電気機械式のバイブ第1号は1880年代の初めに特許が取得されている。

そんな昔に、「セックスそのものを楽しむ」という「反道徳」的な目的のための道具がなぜ生まれたのか?

……という問いの立て方そのものが実は誤りで、バイブはもともと医療器具として発明されたものなのだ。

バイブが??? 医療に?????
先手を打っておくが、肩や腰に当てて「凝りがほぐれる~」みたいなしょうもねえオチではない。
バイブは女性器に当てていた。もっと言うと、バイブが誕生する前は手マンで治療していた。

ますます謎は深まるばかりだ。
今、みなさんの頭の中では、いつか観た企画モノAVがフラッシュバックしているかもしれない。たとえばこんなふうに……。