彼女持ちの三宅健似からLINEが…
最終的にバーの店員が連絡先を繋いでくれたのですが、2日ほど音沙汰がありませんでした。「あの投げキッスは一体なんだったんだ! あんなに微笑んでくれたのに! 絶対にイケると思ったのに!」とキャバ嬢にまんまと翻弄される客のような心情になったところで、彼から連絡がありました。
「こないだはありがとう! ◯◯です。釣りをしに山奥に2日間行ってたから連絡遅れちゃってごめん(^_^;)」
私はこう思いました。「え〜可愛い〜♡」。
しかし、そこからベッドにありつくまでには少々大変な思いをしました。なんせ共通の会話が特にないので、一生釣りの話をしてくるんですよ。いや、たしかに私も悪いんですよ。「釣りって全然やったことないんですけど、めっちゃ楽しそうですね! 釣りの大会も出てるんですか?! すごい! 釣りの大会の勝敗を分ける審査基準ってなんなんですか?」などといった世界一興味のない質問をこちらも投げかけてしまったのでね。
イケメンとはいえ、30代のオジサンですから、趣味の話を深掘りされたら延々と語り始めちゃいますよね。最終的には私の戦意が消失して、こちらからアタックをしていたくせに未読スルーをかましました。きっと彼は「ギョギョ!?」と思ったはずです。
しかし、それから数日後、渋谷にある飲食店で会うことになったんです。彼から指定された時間は夕方の5時。「いやいや、渋谷で5時って……鈴木雅之と菊池桃子かよ。二人でサボタージュする気かよ」とつい古いツッコミをしてしまいました。
私が5時を過ぎて店に着くと、待ちに待った大好きな顔がソファーにポツンと座っていました。ひとまず私も向かいに座り、世間話で盛り上がったあと、彼から突然「俺、彼女いるの知ってる?」と聞かれたので、「知ってますよ! 好都合です」と賭けにでました。すると向こうは「オッケーオッケー!」と笑っていました。
この一連の彼の発言は妹尾翻訳機によると「彼女がいるからそこに踏み込まれたら困るけど、お前を抱きたいと思ってるよ。理解があるならオッケーオッケー!」という結果になりました。ちなみに私の「知ってますよ! 好都合です」という発言は「こっちもそれ以上踏み込む気ないから、彼女がいても構わないけど、二度と魚の話はしてくんなよ」という意味です。
流れるようにホテルへ
そんなこんなで店を出て、2軒目に行くことになったのですが、店を出る途中のエレベーターで彼の方から「イチャイチャする?」と誘われました。顔がブスだったらキモ過ぎて非常停止ボタンを押すところでしたが、イケメンだったので承諾しました。
ホテルに着いてから、お互いにシャワーを浴びて、いたってスタンダードというか、おだやかなセックスが開催されて、おだやかに終止符が打たれまして、なんだか盛り上がりに欠けたんです。なので「すごいおだやかなセックスするんですね〜流派が違う感じがしました」と感想を述べると向こうも同じことを思っていました。
私は生粋のドMなので乱雑に扱われたかったのですが、彼はこれまで私の親ほどの年齢の女性を抱いてきたらしく、世代感ギャップ(?)が生じましたね。ババアたちはセックスで乱雑な扱いをされることを全く好まないらしいです。私もまだまだ甘ちゃんですね。流派が違う家業同士の結婚や、政党の違う一家に生まれたもの同士の結婚はそりゃ難しいわなと思わされました。ナイスワンナイトラフでした。
つづく……
Text/妹尾ユウカ
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