昭和期でも人参を使ってた?え?令和期でも人参を⁈

春画 昭和27年発行 《家庭で簡単に出来る性具の作り方宝典》

野菜をセルフプレジャーやセックスに使うことを勧めた書物は江戸期のものだけではない。なんと昭和期の冊子でも見つけた。昭和27年12月1日発行『モダン夫婦読本』第三巻第十九号の付録《家庭で簡単に出来る性具の作り方宝典》である。その主な内容はセックスがマンネリ化した夫婦をターゲットとして、新鮮味を味わえる安価な手作り性具を提案するものである。

その中に温めた人参を性具として提案する内容があった。いやはや昭和期の資料からも温めた人参の提案を発見するとは予想外であった。

夫婦が閨房(けいぼう・寝室)に入ってしばらくの間、前戯を行うことが性感を増強するのに絶対必要であることは今日では常識となっている。
普通この際は手指を用いるが、それより妻の方にとってさらに快感をますにはちょっとした道具立てがあった方がよい。先づ長人参を親指より少し太目にけづり、これを和紙に包んで熱灰の中に埋め、人肌より少しあったかめに暖めたら、これを夫が持って愛撫用とする。これは手の指のように弾力もあり、非常にぐあいの良い前戯道具である。さらに、もう少し入念にすれば里芋をおろし金でおろしたのにまぶしつければ適当な潤滑と刺激とで、妻の方が非常に速やかに発情してくる。昔は、これを未亡人たちが空閨(くうけい)の淋しさをまぎらすために用ひたと古い文献に出ているが、いつでもどこでも手に入れられるものであるから、この偉効(いこう)を実験されるがよい。

艶笑文学(と書かれている)の専門家が提案しているものだからであろうか、江戸期の性典物と、さほど変わらない内容が記されていた。

少し工夫をすれば身近なもので性具は作れるし、セックスを楽しくことは可能なんだということがこの冊子から伝わってくる。
変わり種なら部屋にブランコを作り、そこに座ってセックスすれば、身体の負荷を軽減し長く楽しめるというものも書いてあったが、この方法ももとを辿れば中国から伝来し日本に伝わったもので、その歴史はかなり古い。

令和期にもなると、(特殊な場合を除き)セルフプレジャーやセックス中で人参を使用することはまさか無いだろうと思っていたのだが、「人参 バイブ」で検索すると、なんと現在でも様々なデザインの人参の形をしたバイブレーターが販売されていることが分かった。人参のシワまでもリアルに再現されており、振動と相まってその人参のシワが快感を与えてくれるらしい。

人参を性の営みに使用することは、もはやある種の伝統の文化なのかもしれない。そして、人参の色や形や大きさは性的な欲求を起こす奇跡の食材……なのかもしれない。

いや、しかし、なぜ人参だったのだろうか。松茸が日本でいつから食べられていたかは知らないが、あちらのほうがよほど性器に似ているではないか。お茄子も形状が似ている……夏野菜だと収穫時期が限られているし、米茄子の収穫が多い地域には不向きだからなのか。

ご存知の方がいたら是非教えてください。

Text/春画―ル