「もちろんエイプリルフールです」

 さて、世間のBL人気の割に女性向けAVにホモセクシュアリティが少ないことの分析の導入として、前回の記事に対する読者からのありがたいコメントに応えよう。
みぃみぃさんなどから、「BL的要素がほとんど月野氏に属してる」とツッコミが入ったのだ。
今回書くつもりだったので触れなかったが、コメントはその通りである。
もちろん月野帯人の演技にOKを出した監督の存在や、他の男優の要素も考慮しないといけないとはいえ、私もBL性が月野のキャラクターによっているところは大きいと思う。

 実際、SILK LABOが「ボーイズラブ作品を撮りました」と嘘をついた2014年のエイプリルフール企画でも、「月野さんは、なんかニヤニヤしてて嬉しそうでした(笑)『エロメンの4Pはどうですか?』なんて提案もあったり(笑)」といういじられ方をしており、月野のキャラクターは公式も認めるところである。

 ただ、このエイプリルフール企画は、社会学者・やおい研究家の金田淳子などから批判を浴びることとなった(Togetter「シルクラボさんのBL」に詳しい)。
SILK LABO公式ツイッターアカウントによる「ボーイズラブはもちのろんのん、エイプリルフールです!!」(原文ママ)というネタバラシツイートが、「女性のエロを扱う会社なのに、BL実写なんてありえないと考えているのは腐女子蔑視ではないか」と考えられたからだ。

 私も、金田と全く同意見である。
ただし、つくって儲かるかどうか経済合理性だけを考えた場合、男性同性愛を描いたAVをSILK LABOがつくるには高いハードルがあるのは確かだとは思う。
理由は様々あるが、一つ挙げるとすれば、BL作品をつくったところで、腐女子層にすらどの程度人気が出るのか分からないということが重要だ。

 たとえば、アニメ『おそ松さん』に登場するキャラクターである一松とカラ松の人気カップリングをパロディしたAV『イチカラはじめよう~次男と四男の秘メゴト~』への反応を考えてみよう。

 このAVの情報が出たとき、Twitterでの反応は賛否両論、というかほとんど阿鼻叫喚に近かった(『TIGER & BUNNY』のパロディAVが出たときなども同様だった)。
そしてそのなかには「気持ち悪い」「吐きそう」といった感想が(吐き気を訴えるカラ松の画像を使ったものも含め)少なくなかったのである。
このことから、いったい何が言えるだろうか。