カノジョづらはしたくない

 小学校の学級会では、「誰に対しても明るく挨拶しましょう」と教わった記憶がございます。しかし! 筆者はこのマンションの住人ではありません。言わば、非・関係者です。

 いや、これがね。正式にお付き合いをしている恋人のマンションなら、正々堂々と挨拶するでしょう。しかし、ときどきお呼ばれしてセックスするような関係性の場合は、挨拶することを躊躇してしまうのです。挨拶することが、「カノジョづら」に該当するような気がするので。

 殿の「おはようございます」に続けて、筆者も「おはようございます」と言ってしまうと、「私は、この人の部屋にちょくちょく出入りする立場のオンナなんです」「正式なお付き合いをしている恋人と認識して頂いてオッケー牧場です」と主張しているようで、なんだか嫌なんですよね。

 かと言って挨拶をしないと、同じ階の住人さんに、あらぬ誤解をさせることになります。「男性側は挨拶してきたが、女性側は挨拶してこないぞ?」「同棲している恋人だったら挨拶するはず」「ってことは、いわゆるセフレってやつか?」「セフレどころか、昨晩の合コンで持ち帰ってきた、一夜限りのオンナかもしれん」「一夜限りのオンナどころか、デリバリーヘルス嬢かもしれん」……こんなふうに思わせてしまうのも、いかがなものかと、考え込んでしまいます。

 ここまで書いて気付きました。筆者が暮らすマンションで、挨拶を返してくれない人・挨拶してこないでオーラを漂わせている人は、住人ではなく、住人の恋人でもなく、「ときどきお呼ばれしてセックスするような関係性」なのでしょう。だから、挨拶されても返しようがないってことか……。

 無愛想な人には、何らかの事情があると悟りました。

Text/菊池美佳子

次回は <「セックスは愛する男と」なんて諦めろ!こじらせた片思いを成就させる方法>です。
片思い…それは、響き的には素晴らしいかもしれない。一途に相手を思っているのだから―しかし!果たして本当に良い事なのだろうか?今回は、片思いをしていることによって「枯れ」かけている生活を送るAM読者へ送りたい記事となっております。