女性は物語の中にエロスを感じる

ジムノぺディに乱れる 日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト 行定勲 峰なゆか 行定勲監督

―監督が考える「日活ロマンポルノ」の魅力は何でしょうか。

Y:自由さがあるところかな。
「10分に1回の濡れ場」というルールさえクリアすれば、アートでもいいし、自分のフェチズムを追ってもいい。今回のプロジェクトでは、5本公開されるんだけど、全部違うんだよね。示し合わせてるわけじゃないのに。昔からそうなんだよね。

―では、峰さんにオススメしたい作品はありますか?

Y:峰さんにオススメしたい作品は「悶絶!! どんでん返し」かな。タイトルがいいでしょ?

M:やばい感じがしますね。

Y:神代辰巳さんという名監督が撮った作品で、ホステスの女がいて、客の男がホステスとセックスしちゃうわけ。で、そこにヤクザの男が「俺の女に何しやがる!タダじゃ帰さねーぞ!」と乱入して、男はカマを掘られちゃう。

M:ええ!? すごい展開(笑)。

Y:で、男は最初「復讐してやる」と思ってるんだけど、カマ掘られたことで、女の部分が開花してだんだん女性化していって、3人の奇妙な共同生活が始まるんだ。

M:すごい!全然ロマンポルノ要素を感じないですね。

Y:バカバカしいシーンが満載なんだけど、最後はなぜか切なくて「哀れ」を感じるんだよね。

M:昔は、AVも制作費が潤沢で、自由につくれたから、監督が好きに撮ってましたよね。普通の映画みたいな。ロマンポルノもそうだったんですね。

Y:昔はそうだったよね。初期のAVは設定に凝ってたし、ロマンポルノの流れで本番アリのものが出てきたって感じだったよね。

でも、カンパニー松尾さんとかが出てきて「ハメ撮り」が主流になった時点で、ポルノとしては、日活ロマンポルノは敵わないんですよ。あれは発明だし、映像の自由度であれに敵うものはなくなった。

M:そうなんですよね。

Y:でも、男性が見ている純粋な「ハメ撮り」って女性向けでは出てきていないですよね。やっぱり、女性は「物語の中」でエロスを感じている。だから、ロマンポルノのようなドラマのあるエロスが求められているんじゃないかな。