違和感で気づく「骨盤臓器脱」

「骨盤臓器脱」とは、腟から子宮や膀胱、直腸などが出てくる病気。腟に臓器がポコッと飛び出して落ちてくるため、違和感があります。

【主な原因】
骨盤の下にハンモックのように張り巡らされている筋肉群・骨盤底筋群のゆるみと骨盤底を構成する筋肉や靭帯の損傷。
複数の出産を経験した女性は骨盤底筋に損傷を受けやすいため、起こりやすい傾向が。また、肥満や加齢、更年期に伴う筋力低下でも起こりやすくなります。

【主な治療法】
治療の方法は様々。軽いうちは投薬や専門の骨盤底トレーナーによる骨盤底筋トレーニングが有効。それでも改善しない場合は、手術になります。

手術方法もいくつかありますが、現在最もおすすめなのが『TFS(Tissue Fixation System)』という最新手術です。これは骨盤底の靭帯(じんたい)を専用のテープで補強することで、臓器を支え、骨盤底のスムーズな動きを回復させようとする方法です。
この手術は、骨盤底のゆるみからくる尿失禁にも効果的です。

ちなみに、上記2つの症状は不快感が強くありますが、特にそのままでも問題はないそうです。しかし、セックスをする際に障害になることは間違いありません。中にはパートナーからゆるみを指摘されてしまった人もいるのだとか。

現在もこれからも、日本は高齢化が問題視されています。
そのため腟がゆるくなるような、加齢に伴うトラブルは今後も増えると考えられます。
20~30代の女性だと腟のゆるみに対して悩みを持つことは少ないけれど、知識として心得ておくことは、今後のセックスライフにおいて有益かも。

腟という場所だけに、恥ずかしさから診察や治療をためらいがちですが、最近では治療や手術に対して積極的な女性も増えてきたそうです。

実際に関口先生が理事を務める『横浜元町女性医療クリニックLUNA』では、腟のゆるみや女性器にまつわる相談件数も増え、女性が性に対して主体的になったと感じる機会が多くなったのだとか。

治療後はセックスに対して前向きになり、それによりパートナーとの関係を充実させることが可能です。
自分のためにも、相手のためにも、クリニックの門を気軽に叩いてみてはいかがでしょうか。

次回は、腟のゆるみ以外の最新女性医療についてお話します。

監修/関口由紀先生
Text/平川恵