よくやった!AMを作り上げてきた編集部に激励の「あっぱれ」/中川淳一郎

ついにAMが終わるというではないか。ウェブメディア過当競争時代によくやった! あっぱれだ! 2018年から8年間AMとは仕事関係で付き合ってきたが、私が書いてきた数々の悩み相談への回答と、間男道3段のニノミヤ氏の物語はここで幕を閉じる。そこで、このサイトが果たした役割と、これから女性の恋愛と性はどうなっていくのか、ということについて、満腔の思いで書いていきたい。

AM編集部との出会い

元々AM編集部との出会いは、2017年12月26日に東京・渋谷で行われたヨッピー氏主催の「ライター忘年会」。当時私は44歳だったが、会場にいたのは20代・30代の若者だらけで、私はデイリーポータルZの林雄司さんに次ぐ最長老であった。2001年にライター・編集者人生を開始した私自身、同業者と付き合うことなどなかったのだが、この頃の若手ライター・編集者は横で繋がるようになっていたのだ。基本、同業者は敵であり、失脚してほしい存在だった。殺伐とした環境で生きてきた私は、この時の和やかな雰囲気にやられた。時代は変わったのか……と。

「ライター忘年会」に行って時代が変わったことを痛感した件

そんな会にいたのがAM編集部の女性編集者軍団だったのである。K編集長に加え、『ターミネーター』シリーズに登場するリンダ・ハミルトン似の美女、藤原紀香似の美女に加え、私の連載担当となるI編集者とここで初めてお会いした。ここから9年に及ぶAM編集部との付き合いが開始したのである。だが、なんで私に連載のオファーが来たのかは未だに分からない。別に私はモテ男ではないし、女性の心の機微が分かるカウンセラー気質もない。

記念すべきエロネタ4本

本題に入る前に。以下の原稿は記念すべきエロネタであるため、ぜひとも一読していただきたい。

表参道で行われた女性向けのイベントリポート、作家・鈴木涼美さんと語り合った男と女のエロに対する感覚の違い、悩み相談に答える「中川淳一郎と『女の煩悩』」連載第一回、そして、現在まで続いたニノミヤ氏登場の「本当にあったエロい話」の第一回である。第一回はニノミヤ氏が満喫した3Pの話だ。なお、ラブホテルに3人で入る場合は、1.5倍のカネを払わなくてはならない、というTipsも当稿では含めている。

ネットではエロは禁忌だった

こうしてAMというサイトを振り返ることになったのだが、女性の皆さんに改めて言いたいことは、「安売りするな」ということである。結局男というものは、バカでエロをすることしか考えていない。だからこそ「何もしないから!」やら「先っぽだけ!」といった妄言を吐き、なし崩し的に挿入に至りたいと考える。本当にどうしようもない存在であり、射精が終わったら「賢者タイム」に突入して、コトに至るまでの熱意が消えてしまう。「えっ? さっきまでの熱心な口説きはなんだったの?」なんてことを賢明なる皆さまは思った経験もあるだろう。

それが男なのだ。残念ながら、恋愛感情よりも性欲がまさり、その性欲が射精によって満たされたら後はどうでも良くなって「はぁ、さっさとここから出て牛丼食いてぇ~」みたいなことを考えてしまうのが男だ。

だからこそ、AMのようなサイトが発信する情報を得て、男女の駆け引き、本気の恋愛と娯楽としてのエロの違い、各種テクニックなどを把握する必要があったのだ。サイトの趣旨自体は素晴らしいものだったのだが、この世は建前がまかり通るもの。ポータルサイトへの配信にしても、「セックス」「フェラチオ」「AV」「おっぱい」「オナニー」「そそり立つイチモツ」「邪悪な蛇が私の蠱惑の穴に入り込んだ」なんてことを書いたら注意を受けてしまう。ヘタすりゃ配信契約を停止される。

かくして実はネットという世界は、エロ動画サイトはさておき、それまでの紙メディア以上にエロは禁忌なのだ。そうした中、編集部はギリギリのラインで頑張ってきたと思う。AMを作り上げてきた編集者の皆さまにまずは激励の「あっぱれ」をお贈りする。

エロネタを読んでくれた読者に感謝

そして、読者の皆様への感謝だ。正直、エロネタというものは、シェアをしにくいものである。なにせ、フェイスブックでシェアなどしようものなら「この人はエロい」「この人は恥知らず」などと思われること必至だからである。そんな社会的風潮がある中、サイトを訪問してくれ、時にはシェアもしてくれて自らがエロ野郎と思われるリスクも取った行動は実に尊い。

私自身、ウェブメディアに関わって今や25年が経過した。AMと出会ったのは8年前なのだが、正直「よくこのテーマで一つサイトを作ったな」と思った。広告はなかなか入れづらいし、編集者にしてもAMに携わっていることを知られると頭の固い人からは「ンマッ、ふしだらな女ね!」なんて思われたり、男からは勝手にエロ大好きヤリマンビッチだと妄想されて「おい、お前、誰とでもやりたいからその仕事してるんだろ~、オレともヤろうぜ」なんて失礼なことを言われる恐れもあったことだろう。

だが、編集者の皆さんはエロや恋愛関連のサイトに携わっているからといえ、ヤリマンビッチというわけではない。むしろ真面目な人ばかりだったという印象を抱いている。ニノミヤ氏の出会った女性の中には「フェラチオ子」が登場する。彼女は酔っ払うと居酒屋でテーブルの下に入り込んで椅子に座る男のパンツを降ろしてイチモツを咥えてしまう女性だったが、ファッション誌の編集者だった。決してフェラチオという言葉が出ない雑誌だ。

性やエロについてはウェブメディアではタブー扱いだが、そこをいかにコンプラ違反にならず、さらには役立つ情報に昇華させるか、ということについて編集部は苦労したであろう。非常に難しい編集技術を伴うものだったと同業者ながらつくづく感じる。

女性はその存在で誰かに幸せを与えている

さて、AM連載陣で男は私だけだったが、原稿を書く度にいかに男が女性とエロをすることが幸せだったかを嚙み締めることばかりであった。そして、ニノミヤ氏はお手合わせいただいた女性全員に感謝している。女性向け恋愛・性のサイトに男が執筆することというのは、その感謝の念を伝えるということである。

だからこそ、すべての女性はご自身が生きているだけで絶大なる幸せを誰かに与えると思ってほしい。「私、おっぱい小さいから……」「私、ぽっちゃりし過ぎてるから……」「私、ブスだから……」などと思わないでほしい。人間は誰もが生きている価値がある。そして、女性の場合は性的なものだけでなく、その存在が男から感謝をされまくっているのである。

それに加え、皆さんにはぜひ性や恋愛に対して積極的であってほしいし自分に自信を持ってもらいたい。ニノミヤ氏の連載に登場する女性は、皆積極的で自ら「やりたいこと」「やってほしいこと」を伝えることができるガッツがあった。AMは終わるが、その精神は永遠に終わらない。

Text/中川淳一郎