一体なぜ?床の上でセックスするのが好きな女性の事情/中川淳一郎

布団を敷かず床の上でセックスをするのが好きな女性がいた。彼女の名前は山口さん。彼女曰く、「布団は落ち着いて寝る場所。床はセックスをする場所」なのだという。彼女の家には2週間に一度行くような関係性になったのだが、彼女の家から戻る度に、体が痛くて仕方がなかった。

何しろ、フローリングの上でエロをするものだから、膝やら尻、背中などありとあらゆる場所が擦れてしまい、猛烈に痛いのである。正常位の場合は、膝に負担がかかり、擦れて赤くなるどころではなく、まるで転んだかのような擦り傷ができてしまうのだ。バックでやるにしても膝をフローリングの上で固定するものだから擦れてしまう。

彼女との体の相性は良かったため、毎度痛さはあったものの挿入しているときの気持ちよさが勝り、そのまま痛みを忘れながら行為に及ぶのだが、終わった後に全身各所が擦れてしまうのだ。

彼女自身に傷はないのかを聞いてみたが、あっけらかんと言った。

「えっ、私は痛かったらすぐにそこが触れないようにするし、基本、男の人みたいに激しく動くワケじゃない。せいぜい体面座位と騎乗位のときぐらいしか私が激しく動くことはないので、全然問題ないよ。それにしてもニノミヤさん、毎度ウチに来る度に傷を負うね(苦笑)」

いやいや、あなたが布団を敷いてくれないからそうなるのでしょうよ、と思いながらも、毎度誘惑に負けて彼女とセックスをし、そして満身創痍の状況になって深夜の荻窪駅前を歩いて最終電車に乗って帰る日々が続いた。

一度傷を負ってしまうとその傷は2週間ほどは消えてくれず、風呂に入る度に痛くて仕方がないし、垢すりタオルで思いっきり擦ってしまうと激痛が走るのである。彼女の家に夏・秋と通う日々が続いたのだが、問題は冬だった。果たして冬も床でやるのだろうか。

答えはシンプルだった。

「もちろんよ。私の家、床暖房があるから暖かいよ」

かくして、彼女と過ごす最初の冬も夏と秋とは変わらず床でセックスをする状態が続いた。僕の身体は傷が増え続け、別の女性とセックスをするときは「一体どうしたの?」と言われたが、本当のことを言うわけにもいかず、「酔っ払って転んでしまった」と言う他なかった。

冬が終わりそうになった3月の第2週、この週は2回山口さんの家に行かせてもらった。普段は2週間ほど間が空くため、傷も若干癒えるのだが、このときはあまりに間隔が短かった。ついにこの日は膝のかさぶたがはがれ、血が出てくる始末。「うわっ!」と山口さんは驚いたようだったが、こう続けた。

「体位変えればなんとかなるでしょ?」

かくして膝が床に触れない「松葉くずし」や背面座位でこの日は無事3回の射精に至ったのだが、このとき、「ちょっとこのままだとオレの身体は痛みに耐えられない……」という気持ちになってしまった。

元々体の相性は非常によかったのだが、せめて布団でこれからはできないか? と懇願してみた。すると彼女は「床がいい」と頑なに拒否。