打ち上げ花火を見ながらヤッちゃう恋人たちは昔からいた?

歌川国芳「華古与見(はなごよみ)」1835年 国際日本文化研究センター所蔵 よく見ると座位で隅田川の花火を鑑賞している。

春画の中には四季や年中行事を通じて、人々の性の営みを描くことがあります。
前回は春の暦を感じることのできる春画をご紹介しました。
今回は夏の行事に描かれる交わりや、暑い夜を過ごす恋人たちを観てみましょう。

祭りの喧騒の中で……

歌川国芳「華古与見(はなごよみ)」1835年 国際日本文化研究センター所蔵

夏の昼間に交わる恋人たち。傍には”冷や水”と呼ばれる砂糖を加えた甘くて冷たい水に、斑模様の白玉を入れた一品や、“水菓子”といって供された西瓜など、夏を感じる品々が並びます。

二階からは晴天の空と神輿が見えます。彼は祭りを抜け出して彼女に会いに来たのかもしれません。褌の結び方がお洒落ですね。では春画の書入れを見てみましょう。

オンナ「ヤアヤア、もう神輿がそこまで来たようだ。こいつァ、こうしちゃ、いられねえ。あれ、なんだか不景気な。あっちの神輿よりか、こっちの祭りが肝心だヨ。あれ、もういくから、きつくよ~」

オトコ「それ、こうか、こうか」

オンナ「アゝフンフン、いくよ、いくいくいくいく」

ヅボヅボ~ニチャニチャ~ドクドクドク~ぬらぬらぬらぬら~・・・・

オトコ「ええ、びっちょり汗になった」

「祭り」はセックスの隠語です。ふたりにとって、本物の神輿を担ぐ祭りよりも、今この瞬間の交わりのほうが大切なのです。祭りの喧騒でふたりで汗だくで交わる激しい音や声も、かき消されているのでしょう。ドクドクドクぬらぬらと汗が流れているのか、何の汁なのか……終えるころにはすっかり冷や水も水菓子もぬるくなっているでしょう。

夕立の雷が怖くて抱きついているうちに……

歌川芳虎「開註年中行誌(かいちゅうねんじゅうぎょうじ)」1834年 国際日本文化研究センター所蔵

蚊帳のウエーブや描写にインパクト大なこちらの春画。ぱっと見るだけだと何が起こっているのか、さっぱりわかりません。春本に書いてある物語によると、どうやら後家さん(未亡人)の家に馴染みの小間物屋(こまものや・櫛や白粉など日用品を売る行商。店によっては張形などの性具の取り扱いもあった。)がやってきて、買い物をしていたときに天気が悪くなってきたようです。

後家「おや、ごろごろ音がしてきたよ。嫌だねえ。」

小間物屋の腎さん「ほんとうに、雷が鳴ってまいりましたね」

後家「ヲ、だんだん雷が強くなってきた。たいへん、たいへん、早く蚊帳を吊って線香を立てな。早くよ、早くよ。雨戸も閉めてくんな。くわばら、くわばら。」

後家さんの家族たちは外出中で、家の中には小間物屋の腎さんとふたりきり。
雷がこわいから居ておくれと腎さんに頼み、ふたりで蚊帳の中に入ります。

ゴロッゴロゴロゴロゴロ、ピシャリ!! ビッカビッカビッカーーーーー!

恐ろしく鳴り響く雷にふたりは恐ろしくなり、力の限りぎゅううと抱きつき合います。

腎さんは気持ちと反してムクムクと一物が起き上がり、後家さんの股に手を入れ割れ目を弄れば、後家さんもわざと知らないフリして足を開き、耐えられなくなった腎さんに押し倒されます。

雷:ゴロゴロゴロ~~!!
後家さん「くわばら、くわばら~/////////♡」

紅い稲妻がビシャアアアと描かれ怯えるふたり。その恐ろしさに反して欲望には勝てなかったふたり。雷の恐怖心が一層お互いを魅力的に感じさせたのかもしれません。

「くわばら、くわばら」って私自身は久しぶりに聞いたのですが、分からない方は、いますかね(笑)? 「くわばら、くわばら」は災難や禍が自分の身に降りかからないように唱えるまじないです。もともとは雷を避けるためのまじないだったようです。