なぜアソコに?江戸時代の“おとなのおもちゃ”「りんの輪」が想像以上にすごかった

久しぶりに江戸時代の性具を紹介します。
前回は「りんの玉」という膣に挿入する金属の玉について話しましたが、今回は「りんの輪」「なまこの輪」と呼ばれるリング状の性具です。

誰もおちんちんに装着した数百年の性具とは思わないだろう

おしゃれなフープのピアスに見えるこの輪っか。両耳につけていてもまさか誰も大人のおもちゃとはわからないでしょう。素材は水牛の角です。わたしは明治期に販売されていた商品を所有しているのですが、素材や見た目、使い方は江戸時代に販売されていた品と同じです。

凹凸つきとツルっとしたタイプがある

大きさは指が二本通る程度です。手触りはツルツルすべすべ。明治期に生きた方が大切に使用されていた遺品なのですが、そんなに経年しているとは思えないほど見た目が美しい性具です。

気になる性具の特徴や使用方法

月岡雪鼎『艶道日夜女宝記(びどうにちやじょほうき)』(1764年頃)国際日本文化研究センター所蔵

この性具の使用方法や特徴は『艶道日夜女宝記(びどうにちやじょほうき)』(1764年頃)に掲載されています。リング状の性具には「りんの輪」の他に「なまこの輪」があります。このふたつの輪はどのような違いがあるのでしょう。

りんの輪(右図):カリの際(きわ)に装着する。素材はクジラべっ甲や水牛の角。
りんの輪を装着したら最初は浅く挿入し、女陰が潤いはじめたら深く挿入する。

なまこの輪(左図):カリの際(きわ)に装着する。女陰を唾で濡らしたら、りんの輪と同じように最初は浅く挿入し、女陰が潤いはじめたら深く挿入する。

このリング状の性具を男根のカリに装着して女陰に挿入すると、輪の凹凸やイボイボが女陰の中に当たってほどよく刺激されて気持ちいい、らしい……!

勃起してからでは亀頭が邪魔をして輪をつけられません。なので勃起前につけて大きくなったらカリ部分にこの輪を食い込ませるのです。この持ち主の勃起時の男根の太さは直径3センチくらいだったのか……とか考えてしまいます。

わたしが所持するのは「りんの輪」?「なまこの輪」?

右下がなまこの輪。渓斎英泉『あづまひな形」(1839年)国際日本文化研究センター所蔵

そして、私の所持するこの輪は「りんの輪」と「なまこの輪」のどっちなんだ?? という疑問。

江戸期の出版物を読む限り「なまこの輪」という名前だからといって、海産物の海鼠(なまこ)が原料というわけではないのです。『あづまひな形』(1839年)によると、「なまこの輪」はべっ甲、角、動物の皮などが原料でした。使用前は湯で輪を温め、熱伝導でやわらかくします。

右上がりんの輪。渓斎英泉「あづまひな形」(1839年)国際日本文化研究センター所蔵

一方で、りんの輪は数珠玉(じゅずだま)とも呼ばれ、草の実や金(こがね)でつくることがあると説明されています。玉を針金に通した品もあり、女陰の中でその針金が切れると怪我をすることがあると書かれています。他の江戸時代の出版物を見ても、数珠のように玉を繋いでつくった性具が「りんの輪」と呼ばれていたことがわかります。前回紹介したりんの玉も金属製の玉ですし、わたしが所持している性具は「りんの輪」ではなく「なまこの輪」ということになります。

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