実は寝室もベッドも一緒なカレー沢家
しかし私は今まで「一日で夫と一緒にいる時間はトータル10分ぐらい」と言って来たが、良く考えたら寝室もベッドも一緒なため実質「10年間、毎日8時間ぐらい一緒にいる」ことになると気付いた。
「寝室を分ける」というのも夫婦円満のコツに1つと言われている。
寝る時の快適温度の差や、就寝時間の差、いびき、歯ぎしり、寝相、狭い、臭いなど、何故こいつと結婚してしまったのか疑うレベルのストレスが同じ布団で寝ることには潜んでいるし、また「睡眠」というのは人間にとって最も重要と言っても過言ではない。
睡眠不足というのは人体にとって即効性のある毒であり、ドトールの角席で2日ぐらい寝かせてもらえなかったら、大体の絵画ローンや、宗教に入ってしまうと言われている。
つまり快適な睡眠環境が得られていないという理由で、しなくても良いケンカや家庭内トラブルが起こっているという可能性もある。
協調性がなく、他人と10分も行動を共にできない、と良く言っているので、同じ寝室で一緒に寝ているというと意外と言われるのだが、それは寝ている時の夫が、静か、動かない、というほとんど死体だからだと思う。
また、私より夫の方が先に寝ているため、私がベッドに入るころには既に死体なため、実質一人で寝ているのとあまり変わらないのだ。そして、睡眠快適温度も大して変わらないようだ。
ちなみに夫は中年男性の割には臭くない、多分私の方が臭い。
人間というのは、風呂に入っていても、年を取ると「加齢臭」というものが出て来てしまい、女も例外ではない。
話は変わるが少し前に「おっさんがJKになれるボディソープ」というのが流行ったが、あれは比喩ではなく、本当に十代後半の女が強く発する出来る甘い香りというものがあり、その匂いを模したボディソーブだったそうだ。
元々は、その甘い香りを発する力が弱まった我々中年女のために作られた商品だったらしいが、何故かおっさんたちのものになってしまった。
それにしても、自然に甘い香りを発することができるなんてやはりJKはすごい、というかそんな仕組みにした神がキショすぎる気もするが、神は「おキャット様」という最高傑作を作っているので大体のことは無罪だ。
そんなわけで、夫と一緒に寝ることにそんなにストレスを感じたことはないが、冬場だけは違う。
冬になると、無意識に夫が布団を自分の方へ引き寄せ、気づいたら真冬に毛布だけで寝るというチャレンジングな就寝になっているのだ。
そのたびに、布団を元に戻すのだが気づいたらチャレンジしており、それが一晩に何回もあるため、なぜそうなるのか分析したところ「私が端に寝すぎている」ということがわかった。
ベッドのキワキワに寝ているため、どれだけ布団を引き寄せても、布団の端しか体にかからないため、いとも容易く奪われるのだ。
やはり、体が他人と同一空間にいることを無意識に拒否し、ギリギリまで離れて寝ようとしているのかもしれない。
しかし、今更ダブルベッドを窓から投げ捨て、シングルベッドを窓から二台入れるなどという面倒はできない。
結婚はスタートにしか過ぎないが、寝室についてはスタートが全てだ、ここでコケると、10年崖で寝るような生活になるので、慎重に決めてほしい。
Text/カレー沢薫
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