夫婦円満のコツは「同一空間に存在する時間を1秒でも減らす」なのか/カレー沢薫

今回のテーマは「夫婦と寒さへの防御」である。

前回、夫とは風呂の温度の好みが違うと書いたが「快適温度の違い」というのは、同居するにあたり地味なストレスになりがちなのだ。

しかし、何せ結婚して以来、長時間同じ空間にいたことがほとんどないので、室内の温度に関してはあまり気にしたことがない。

つまり、夫婦円満のコツとは「同一空間に存在する時間を1秒でも減らす」ことなのではないだろうか。
世間ではそれを「家庭内別居」と呼ぶし、会話が減る一方というデメリットもある。

しかし、一緒にいることで関係が良くなっていくのは加点方式状態のカップルだけなのだ

「おまえとおったら」「かなわんわ」「どこのどいつも」「おもろいわ」という一緒にいるだけで楽しいという確変期間なら、一緒にいればいるほど相手のことを好きになるという加点方式になる。

ちなみに上記のはヅャスラック対策なので、各自入れ替えて意味が分かるように歌ってほしい。

しかし、つきあってしばらく経つと、一緒にいるだけで楽しいとはいかなくなるし、いい意味で「相手の新しい一面に気付く」ということもなくなってくる。
その内「極めてどうでもよいが、地味にイラつく相手の言動」を発見することの方が多くなるという、減点方式になっていくのだ。

減点方式になったカップルは、一緒にいる時間が長くなればなるほど減点が増え、仲が悪くなっていく。
しかし一緒にいなければ、プラスにはならないが、マイナスも発生しないため少なくとも「パートナーとは特別仲が良いわけではないが、悪くもない」という状態をキープすることができる。

また、同居していた時は親にムカついていたが、家を出たらそうでもなくなった、という人も多いのではないだろうか。
これは至近距離で屁をこかれるなど、俺が見えないのか、すぐそばにいるのに、という家族ゆえに起こる紅現象がなくなるというのもあるが、別居することにより、紅現象により蓄積されたマイナスの記憶がぼんやりしていき「そこまでムカつくことではなかった」という認識に変わっていくからだ

ただ逆に親から離れることにより「俺の親は異常だった」と気づいて紅に染まっていくパターンもあるが、くだらないマイナスは大体距離を置くことでフラットになっていく。

よって、同居していても同一空間にあまり存在しないことで、マイナスを防げるし、逆にマイナスが回復し、相対的に「前より仲良くなった」ということもあるのだ。

前後の連載記事