人間として相応しい格好はある
私も32歳腐女子はファッションに関してはそんなに恥じることかと思った。
だが「30過ぎの女性として相応しい格好」が唾棄すべきものであっても、清潔感など「人間として相応しい格好」があるのも事実である。
精神的に成長が止まってしまった、もしくは退化してしまったせいでその基準が平均を著しく下回ってしまい別の意味で「子どもみたいな格好」になることはあるので注意が必要である。
ここでいう子どもみたいな格好というのは女子中学生みたいな格好をしているという話ではなく「袖口が鼻水でカピカピ」という意味である。
「あなたは、もう少し身だしなみに気をつけなさい」
これはKERAをバイブルと呼んでいる娘にお母さんが発した言葉ではない。 夫が私に対して言った言葉である。
それを言われたのは、私がまだ会社員時代の出勤前の朝のことである。
私は会社支給の事務服を着ていた、つまり服装に問題があったわけではなく、スカートに安全ピンを大量につけていたわけでもない。
ただ、シャツの襟が全部内側にインしていたのである。 夫はそれを直しながら上記の言葉を言った、ちなみに夫に襟を直されるのは5回目ぐらいであった。
つまり「見るに見かねて言った」ということである。
その時の私は鏡もろくに見ないし、襟が入っていても別にいいし、そんなの誰も見ていないと思い込んでいるという、まさに幼稚園児状態だったのだ。
このようにファッションに興味がなさすぎたり、外に出なかったり、人に会わなすぎることで、外に出て良い格好基準値が著しく下がっていることはあるので「年相応」の格好をする必要はないが「人間相応」か、というのは、時々振り返り、反省もする必要がある。
そして逆に「好きな格好をする」ことにこだわりすぎると「TPO」を弁えられなくなるという場合もあるので注意が必要だ。
年に相応しい格好などなくても「場所や情況に相応しい格好」というものはあるからである。
その点でいうと、プライベートで友達に会いに行っただけの32歳腐女子はやはり落ち込む必要はないのではなかろうか。
ただ、葬式とかであれば、そのキャラの葬式以外でキャラアクセはつけていかないほうが良いと思う、そういうことである。
Text/カレー沢薫
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