「二人とも家にいる」という状況をどうイライラせず過ごすか「夫婦と在宅勤務」

カレー沢薫のカレーなる夫婦生活連載バナー

今回のテーマは「夫婦と在宅勤務」だ。

既知の通り現在、世界はコロナ禍の真っただ中である。 コロナウィルスそのものも脅威ではあるが、その影響により生活を脅かされている者も少なくない。

現在、外出自粛要請という、出来たら脱いでほしいと言いながら猛烈にエアコンの温度を上げてくるが、決して「脱げ」とは言い切らない政府の方針により、ウィルスに怯えながら出勤している人もいると思うが、すでに自宅勤務、または休業になっている人も多いだろう。

コロナを防ぐために、外出しないことは重要である。 しかし、この外出自粛生活のおかげで、家庭内ストレスグラフ特に妻の上昇率がフリップに収まらない勢いで上がってきているという、つまり「放送禁止レベル」だ。

まず、休校により仕事を休まなければいけなくなった人もいるだろうし、子どもの世話で在宅ワークも捗らない、という人もいるだろう、何せ「外で遊んできなさい」という伝家の宝刀を封じられているのだ。 そしてその横では、同じく自宅待機になった夫が何故か暇そうにしている、もしくは無人島開発に勤しんでいる。 そんな光景を毎日目にしたら、コロナの前に、全身の血が沸騰する奇病で死んでしまう。

しかも配偶者が家にいる理由が、給料が補償された自宅待機ではなく「仕事がなくなった」からかもしれないのだ。

先日、家で5時間痛飲をキメていた夫婦の妻が「あんたの仕事がなくなって生活が苦しくなった」という愚痴を吐いてしまったことから口論になり、夫の平手打ちから転倒した妻が死亡するという痛ましい事件があった。

これは、DV野郎が悪いとかそんな無神経なことを言う女が悪いという問題だけではない。

政治が悪い。 いきなり意識だけ肥大化した繋がりたいタグ乱用大学二年生みたいなことを言ってしまったが、これはもう個人のせいというレベルを超えた自体だ。

コロナによる減収を国がちゃんと補償すると言えばこの口論は起こらなかったかもしれない。 だが、それはわかっていても、これから総理を、今から首相を殴りに行こうか、と言って本当にチャゲアス(現在アスカ不在)できるわけではないし、先日本当にヤーヤーヤーしに、首相私邸に侵入した女が逮捕されていた。

どうやら警察は、休業や自宅待機していないようなので、これを機に悪事を働こうとするのは止めた方がいい。

コロナやそれに対する政府の対応が悪いとわかっていても、生活が厳しくなればイライラするし、ぶつけどころがなければ、近くにいる家族に当たってしまいがちである。 実際コロナの影響でDVが増えていると言う。

コロナが去ってもその前に家庭崩壊しては意味がない。 外出以外何も自粛していないキレキレの動きを室内で見せる子どもや、逆に人間であることを自粛してしまっている配偶者が横たわる姿を見て手が出そうになることもあるかもしれないが、今回ばかりは家族ではなく、コロナそして政治、もしくはたぬきちが悪いと思って、話し合いでの解決を目指そう。