「あなたがAVに出演するとしたら、ギャラはこれくらいです」って診断されたくないですか？／峰なゆかさんインタビュー

日常生活でおっぱい丸出しにできるところはない

峰さん：私の場合は、合コンでの値段よりも、AV女優としての値段のほうが高いんですよ。だって、合コンでおっぱい出せないじゃないですか（笑）。胸が大きいわりに、形がきれいで乳輪がデカすぎないというのが魅力なのに、それ、おっぱい丸出しにしないとわからないんですよ。日常生活でおっぱい丸出しにできることころってないですよね。
合コンでおっぱい出して縄跳びしたい〜って思うんですよ、そしたら私、すごい強いのにって。
あと、私はアヘ声のバリエーションがたくさんあるんです～とか。みんなそういうのって自慢したくないのかな。

──そういうの、自慢できるシチュエーションってめったにないですね（笑）。

峰さん：世には出してないけど、実はめちゃめちゃスタイルがいいとか、地味だけどセックスを始めるとめちゃくちゃすごい女とか、世の中にはたくさんいるじゃないですか。でも、みんなその輝きを知らないまま終わっていくわけで、だったら、そのまま終わるよりもなにかしら残したい……みたいな。

──そういう気持ちで女優になった方もいらっしゃいますよね。

峰さん：そう、爆乳ちゃんがえのき工場で働いていたエピソードは、実在したすごくスタイルのいい女優さんから聞いたんです。「いままで工場で働いてたんだ、作業着着て」って。でも、自分がスタイルいいなんてぜんぜん知らなかったって言ってて。
こんなかわいい子が工場で作業着着て働いてたの！？って驚いて。もし、スカウトされなかったら、この子は自分が天才的にスタイルがいいということを知らないまま工場で一生を終えていたなんて……そんなひどいことありますか？
でも、世の中的にはAVに出演させられたほうがひどい！ってなるんですよね！　不思議！！

──彼女の人生はAVデビューで拓けたかもしれないですね。人によって、価値基準が変わるので難しいですが……。

峰さん：爆乳ちゃんの場合はAVに出る前だって十分可哀想じゃないですか？　モラハラっぽい彼氏もいて、とくに気持ちもよくないセックスを無料でして。それがAVならお金もらえて、トイプードルを飼える生活になれる……まあデメリットもあるわけだけど、私なら後者の方がまだマシだなって思うんですよ。価値基準は人それぞれというのはもちろんそうだけど、だからこそ、周りの人間が一方的に「不幸」とか「誇りを持って出演している！！」とか決めつけてしまうのは受け入れられないんです。

無銭フェラのほうがひどいと感じる

──モラハラ彼氏に従属するより、自分で稼いで好きにできる。爆乳ちゃんがCDデビューっていうのを入り口に、AV出演してしまう流れが重いっていう感想もあるんですけど、峰さんはその辺りもカジュアルに描かれていますよね。

峰さん：私は超あるあるなパターンとして描いたつもりだったんですよ。今後もいろいろな女優さんのAV女優になる課程を描いていこうと思っているので、最初は「よくあるよね、こういう話！」っていうあるあるパターンにしようと。
そしたら「なんてひどい世界なんだ！」「出演強要！」って反応されてびっくりしました。これも強要になるんだ！って。もっと強要って……。

──もっとえぐい話もあるのに、と。

峰さん：そうなんです、自分と世の中との感覚の差っていうものを感じました。

──あのあるあるパターンでデビューする子たちを峰さんはどう見ていたんですか？

峰さん：むしろ、彼氏に無銭フェラして「精子飲んで」とか言われるほうがひどい。そっちのほうが辛い現実として描いたんですけどね。
だって「フェラして」って言われて、「飲んで」って言われるんですよ！　私、絶対イヤですよ。超～～イヤ！　
しかもそれを無料でやる？　みたいな。何百万円かもらったら我慢してやりますけど…！
でも私、飲むのは絶対イヤなんですけど、顔にかけられるのはやりたいんならどうぞって感じなんですよ。顔にかけられるなんて絶対イヤって人が多数派なのは知ってるんですけど。だから飲むのは私全然イヤじゃないよって子はごくごく飲んだらいいとは思うんですけど、別に飲むの好きじゃないっていうか、我慢して飲んでるとか、飲むのが普通だと思って飲んでる子っているじゃないですか。それを聞くと「はぁ……」って気持ちになります。

――セックスの楽しさや気持ちよさよりも、彼氏との関係性を維持するためにとりあえずセックスしているような子ってそこそこいると思うのですが、どうせ不毛なセックスするくらいならAVデビューしてお金にかえたほうがマシ、というか生産的ですかね。

不毛なセックスをやってるくらいセックスに積極的ではない、知識も技術も持ってない子は、爆乳ちゃんのように胸が超デカい１８歳とかではない限りあまり金にならないし、顔が死ぬほど可愛いとか胸が超デカいとかいう特徴があるなら愛人稼業や婚活でがんばった方がデメリットが少なく利益が出る可能性が上がるのではないかと思います！

──爆乳ちゃんみたいな、服装が周りから浮いているような子がスカウトに狙われやすいというのは、実際にスカウトから聞いた話なんですか？　服装が浮いている子は孤立しているから、相談する友達もいないし落としやすい、みたいな。

峰さん：そうですね。メンタルの調子って服装やメイクにあらわれるんですよ。みんな自撮りの質がガッて落ちるから、メンタルの調子が悪いときはわかりやすいって言いますよね。

──メンタルの調子が悪いときは誘いに傾きやすい。

峰さん：うん、承認欲求のはけ口、依存先を探しているっていうか。

──自撮りの質が落ちたときはスカウトに狙われないように気を付けたほうがいいですね。

峰さん：今はSNSスカウトが多いんで、アラサーOLですってプロフィールに書いて、DMを開放しているようなアカウントにはスカウトが来たりしますよ。
ちなみに、街でスカウトされたくなかったらメガネかけてるだけでめちゃくちゃ減りますよ。スカウトの人が、「メガネをかけている子はAVに出てくれる確率が低いからそもそも声かけない」って言ってました。フィリピンパブの呼び込みの基本が「社長」で、メガネをかけてたら「先生」呼びになるくらいの安直な話ですけど（笑）。

──爆乳ちゃんのAVデビューのくだりを「出演強要では？」と感じた読者へむけて、今後の展開をどう楽しみにしてほしいですか？

ちゃんと契約書も作成したはずなのに「出演強要させた」と言われるスカウト側の認識だったり、「今のAV業界に出演強要なんてない！」と言う女優さん側の認識だったり、「何も知らない女の子を騙して出演強要するなんて！」と思っている側の人間が「うーん……よくよく話を聞くとこのパターンは出演強要ではないのでは……？」となるラインなど、出演強要問題は掘りこ起こされてない側面のエピソードがたくさんあるので、「騙されたかわいそうな子」で終わらない爆乳ちゃんを見てほしいです。