アプリで一目惚れした一枚の顔写真

職場に恋愛を持ち込みたくない私は、マッチングアプリや婚活アプリを片っ端から試しましたが、なかなかうまくいきませんでした。心惹かれる人なんて、そう現れないものです。それでも会うだけ会ってみようと行動しましたが、マッチするのは単なるカラダ目的の詐欺師、病的な嘘をつく既婚者、子どもを目的に結婚を焦る恋愛下手…そんな人ばかり。ある人は「お前自分がいくつかわかってる?売れ残りなんだから、お高くとまってないで早く俺に抱かれてみろよ、結婚考えてやってもいいぞ」と、連日まるで脅迫のようなメッセージを送ってきました。

ほとんど恋愛を諦めかけていた頃、とあるマッチングアプリの一枚の顔写真に、これまでとは全く異なる感覚を覚えました。どこか幼い顔つきで、不敵に笑うTシャツ姿の男性。それが、彼でした。

プロフィールを見ると、彼が有名企業を経て、海外の超有名大学の大学院に留学し、帰国したばかりだということがわかりました。私はその時、直感的に理解していました。もしもこの人と会えたら、きっと私は恋に落ちるだろうと。

でも不思議なことに、私はその感覚を手放しで喜ぶことができませんでした。私の第六感はきっと理解していたのでしょう。それが、身を切るように辛く、苦しい恋の始まりになるであろうことも。

Text/つかふる姐さん