あらかじめ決められた「運命の人」を探せ!

運命の人って、いると思いますか? 私はいてもいなくてもこっちには分かりようがないからどうでもいいかなと思う派です。でも、考える分には面白いテーマかなと思います。例えば昔の人って一生同じ村にいたり遠出しても国内という人が多かったと思うんですけど、その頃は神様も運命の人同士を近くに配置しておいて、技術とか進歩して世界中の人が行き来するようになってから「ココと…ココにしちゃおっかな~!」みたいな大胆な発想を楽しむようになったのかなぁ、とか。

どうでもいい話をしてしまいましたが、まさにその「運命の人」論をめぐる映画がちょっとドタバタなロマンティック・コメディ『オンリー・ユー』です。
ヒロインのフェイスは「信仰・信念」という意味の名前を持っていますが「運命の人」は信じていません。というか、本当は幼いころに占いで告げられた「デイモン・ブラッドリー」というめちゃくちゃ具体的な運命の人の名前をずっと信じて生きてきたのですが、適齢期の今に至るまでとうとう出会うことができなかったので、観念して、っていうとひどいですが、とにかく素敵なお医者様と婚約したわけです。
そんな彼女のもとに、挙式まであと少しというある日婚約者の友人という男性から電話が。式に参列できないことを詫びる彼の名前をメモさせてもらおうと思ったら、なんとデイモン・ブラッドリー! これこそ遅刻してきた運命と信じたフェイスは彼を追ってイタリアに発つのですが…というあらすじ。

実はロマコメほど独創性が問われるジャンルもなかなかなくて、基本的にはみんなハッピーエンドになるはずですし、それを期待されてもいます。だから作り手は設定や演出、キャスティングなどあらゆるところに工夫をして観客を楽しませます。
ロマンティック暴走機関車と化したヒロインの行動は終始かなりはちゃめちゃで、利己的と言っても過言ではありません。

でもいいの。かわいいから。
演じるマリサ・トメイを見ていると太古の昔から言われている「ショートカットが似合うのはガチでかわいい子だけ」ということわざが身に沁みます。

彼女と運命的(?)な出会いを果たす相手役はロバート・ダウニーJr。
逆ギレ気味に愛の言葉を吐きまくる様がとにかくカッコいい。
必死で彼女を追いかける彼の姿にも「どうしてそこまで好きになっちゃったんだ…分かる…かわいいもん…」のエンドレスリピート機能がついています。

このころはプライベートでもお付き合いしていたというマリサとロバートは『アベンジャーズ』シリーズではそれぞれスパイダーマンの叔母とアイアンマンを演じて、ファンをにやりとさせてくれました。(私はマーベルの回し者ではありません)

演出面でも名作オマージュ的なシーンがあったり、随所に仕掛けがあって楽しめます。特に舞台がイタリアということで『ローマの休日』を意識したところは分かりやすいですね。 撮影がとっても綺麗な上にイタリアの中でも行ったり来たりするので、旅気分を味わうのにもオススメです。