君はヒロインなのだから

深夜二時。iPhoneを握りしめて「復縁 するには」と検索する君に/葭本未織

「復縁 方法」と検索する君に

女性が公園にいる画像 一ノ瀬伸

今回から「復縁」について書く。
なぜこのテーマに至ったかというと、わたしがAMを読む時、必ずと言っていいほど離れていってしまった人を思い出し、号泣しているからだ。時刻はだいたい深夜二時ごろ。Googleの検索窓に「復縁 方法」と入力する。電話占いを飛ばして2~3個目に出てくるのはAMだ。調べてないけど記憶がそう言っている。

というようなことを大戸屋で定食をかっくらいながら担当さんに話し、「やっぱ復縁で検索してくる人多いんですか?」と聞くと「そうですねえ~」と言われた。

ということで理由は身もふたもないが、「わたしの考える最良の復縁のやり方」について書いていく。お世話になってきたAMと、おそらくわたしと同じように号泣しながらiPhoneを握りしめている君のために。

理想の女の子をやり過ぎてしまった

いま、飛行機は東京の地を離れた。久しぶりの感覚にわたしは戸惑った。進路は南。到着先では家族が待っている。
ふと窓の下の景色を眺める。機体が前へと進むたび、海原は光り、沿岸部は刻々と姿を変える。一つとして同じ形のない、美しい入江たち。まぶしい、まぶしすぎる。

長い間、理想の女の子をやり過ぎてしまったなあ。

理想の女の子。わたしにとってそれは、元気で明るくて素直な女の子だった。つまり、言われたことに疑問や不満を持たない子。その通りに従う子。そしてなにより、100%の期待に200%の結果で応えられる子、だった。
なぜわたしがこのような理想を持ってしまったかというと、こう言われて育ったからだ。

「人の気持ちに寄り添いましょう。自分のことは滅私しましょう。」

でも、この声の持ち主は誰なのだろう。そう問われると考え込んでしまう。

母や父、同級生、教師、厳しすぎた教育と言えてしまえば、問題はより明確で、解決への困難さはより深まったろう。
だけど、そうじゃない。
そうじゃないことはインターネットを開けばわかった。ネットの海には、たくさんの人の傷ついた記憶がただよっている。そこに記された情景は想像を絶するほど過酷で、わたしはそのような経験を持っていないからだ。

けれど怯えている。一言で表せない「何か」にいつ怒られるのかと震えている。それは巨大で、けしてわたしから切り離せず、けれど曖昧で形のない――。

その時、機体ががくんと揺れた。メイアイヘルプユーとキャビンアテンダントの声が響く。
突然の乱気流の中、わたしは気がついた。

そうか、「過去」か。わたしは「過去」に怯えているのか。