かつて希望に夢を膨らませた未来像を2018年の今、叶えられているだろうか。
自動車が空を飛び、万能ロボットが家事をこなし、人類は宇宙へ旅をする――なんて夢は賞味期限の切れた過去の産物で、私たちはいまだ地球の上を汗水流して歩いている。
しかし、それを唯一覆すツールが存在する。それはVR〈仮想現実〉だ。スピルバーグが新たに提示する2045年の未来像は、その中にあった。
アーネスト・クラインのベストセラー小説『ゲームウォーズ』を、スティーブン・スピルバーグ監督が映画化。
タイ・シェリダンを主演に迎え、『機動戦士ガンダム』や『ストリートファイター』など日本発のキャラクターのアバターなどが多く登場し、驚きと興奮に溢れためくるめくVR世界“オアシス”での冒険を堪能できる。
夢を見ているかのようなVR世界“オアシス”
興奮が醒めやらない。観終わると夢のような感覚が残り続ける。『インディ・ジョーンズ』、『E.T.』、『ジュラシック・パーク』など、これまで世界中の少年少女を虜にしてきたスピルバーグが、今回新たにその衝撃を更新する。
ウェイドが旅するVR世界“オアシス”のディテールが確かでビジュアルが次から次へと変動する様は、まるで夢を見ているかのようだ。レースゲームからロボットアニメ、ある名作映画の世界まで、ディズニーランド級に豪華でこだわり抜いたテーマパークが幾つも味わえる。たった二時間半、いや一日だけで咀嚼するのに無理がある。数週間はこの興奮が体から抜けないだろう。
“オアシス”の創設者ジェームズ・ハリデーの莫大な遺産とオアシスの運営権を手に入れるため、ウェイドが旅をする中で出会う仲間のアバター/現実世界の姿のギャップが笑いを誘う。これは物凄いスケールのオフ会だ。
彼が恋する美女アルテミスの正体がやはり美女であるのはお約束感があるが、冴えない青年がヒーローになる、ボーイmeetsガールである、仲間と力を合わせて戦う、といった鉄板というべき法則がストレートに少年少女の心をくすぐる。
ガンダムやアイアン・ジャイアントなどが一堂に会するという異常事態。小説なら許されるこの世界を実写で実現させているのは、間違いなくスピルバーグの権限、人脈、ポジションあってのことだろう。まるでスピルバーグ本人がジェームズ・ハリデーのように思えてくる。彼にしか作れない世界を存分に楽しませてもらえるのだ。
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