フィクションの中から真実を掴み取る
ウソをつかれていたことに最初は憤り、我を忘れていた由加利。だが、やがて真実に辿り着いた時、桔平の切実な愛情を知る。
たとえウソであっても、決して“騙されていた”わけではない。桔平のウソの中のホントを愛することになる。
小説が桔平にとって何の意味を持つのか。フィクションの中から真実を掴み取るのは、まさに由加利の旅路そのものである。
名前も職業もウソであっても、桔平とともに過ごした時間や、髪を触る手の温もりは決してウソではない。
くも膜下出血で倒れたままの桔平とのやり取りが回想で描かれ、過去と現在を何度も行き来する。そこで名前が桔平じゃなくても、そこにいたのは間違いなく私が愛していた人であるという絶対的な真実が浮かび上がり、由加利に大粒の涙を溢れさせる。
誰だって少なからず秘密を隠し持ち、どんなに親しくても100%は理解し合えない。
でも、誰かを愛するには、ほんの僅かな真実だけで十分なのかも知れない。
ストーリー
食品メーカーに勤務している由加利(長澤まさみ)は、研究医の恋人・桔平(高橋一生)と5年に渡って同棲している。
ある日、桔平がくも膜下出血で倒れて寝たきりになってしまう。そこで由加利は彼の免許証が偽造されたもので、名前も職業もすべてウソだったことに気付く。
桔平がどこの誰なのか、私立探偵・柏原(吉田鋼太郎)とその助手・木村(DAIGO)に調査を依頼する。やがて桔平が書き溜めていた未完成の小説が見つかり、由加利は手がかりを探すために小説の舞台である瀬戸内海へと向かう――。
1月20日(土)、全国全国東宝系にてロードショー
監督・脚本:中江和仁
キャスト:長澤まさみ、高橋一生、DAIGO、川栄李奈、黒木瞳、吉田鋼太郎
配給:東宝
2018年/日本映画/118分
URL:「嘘を愛する女」公式サイト
Text/たけうちんぐ
次回は<9年間で9回死にかけた少年の、知られざる驚愕の真実とは『ルイの9番目の人生』>です。
海辺の崖から転落した少年・ルイは昏睡状態に陥ってしまう。何度も死にかけた彼の運命を、小児神経科医・パスカルが追うことで思いもよらない真実に直面する——。イギリス人作家リズ・ジェンセンによる同名ミステリー小説を映画化。
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