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  • 2017.08.24

女は男に守られる?そんな昔の常識の息の根を止める『ワンダーウーマン』

女性だけの島“セミスキラ”に不時着したアメリカ人パイロット・スティーブを助けた事から、その島のプリンセス・ダイアナは外の世界で起きていることを知る。「世界を救いたい」と強く願う彼女は、故郷をあとにする——。DCコミックスで唯一の女性ヒーロー・ワンダーウーマンの待望の実写化。

映画『ワンダーウーマン』のキャプション画像
© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

 男は女を守り、女は男に頼るもの。なんてひと昔前、いやすでに大昔前の常識だっただろう。

 だが、今でもその常識は生き残っている。そこでダイアナことワンダーウーマンが、完全にその息の根を止める。それも従来の攻める強さから、“ 守る”強さへと姿を変えて――。

 DCコミックスで唯一の女性ヒーロー・ワンダーウーマンがいかにして美女戦士へとなったのか。
『モンスター』で主演のシャーリーズ・セロンをアカデミー賞主演女優賞へと導いた女性監督パティ・ジェンキンスが14年ぶりの監督作に選んだのは、誕生してから75年以上も熱い支持を集める最強&華麗な『ワンダーウーマン』。

 ミス・イスラエルであり、「世界で最も美しい顔100人」の2位に選出されたガル・ガドットを主演に、単なるヒーロー映画に収まらない重厚なテーマを詰め込んだ作品に仕上げた。

第一印象を裏切り続けるギャップの数々

映画『ワンダーウーマン』のキャプション画像
© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

  ワンダーウーマンの存在自体は多くの日本人にとってマイナーで、本作のポスタービジュアルを目にした瞬間に興味を失う事は分かっている。

「なんなんだこの格好は」
……気持ちは分かる。分かるけど、ちょっと待ってほしい。
その先の先まで辿り着けば、その第一印象は裏切られ続ける。従来のヒーロー映画のみならず、他のアクション作品にはない映画体験が味わえるのだ。

 イスラエルで兵役経験もあるという主演・ガル・ガドットの剣よりも盾を駆使する激しいアクションシーンと、戦争を嫌い、平和を望む一途な眼差しにやられる。
馴染めないコスチュームが段々自然に思えてくるし、時折見せる笑顔が何よりも男女問わずハートを射抜く。

 ただカッコいい女性像だけではなく、世間知らずの可愛らしい一面もちゃんと描かれている。ロンドンに降り立ったダイアナが初めて世俗に触れて、社交マナーや人間社会の常識を教わるシーンがお茶目だ。
一度決めたら梃子でも動かない強い意志が、まるで少女のように幼く見える瞬間が描かれることで親近感を覚えてしまう。

“頼らない女”の物語ではない

「すべての命は救えない」とスティーブが止めても、塹壕から飛び出して銃弾が飛び交う戦場を一人歩き出す。不器用なまでに平和を願う彼女の姿に、心を動かさずにはいられない。

 我々は心のどこかで、「戦争はなくならない」と決め付けてはいないだろうか。人と人とは分かり合えず、この世界は争いが絶えないのは仕方がないなんて、どこかで諦観しているかもしれない。

 第一次世界大戦で荒れ果てる舞台から、決して綺麗事では済まされないテーマが浮き彫りとなる。
果たしてワンダーウーマンにとって人間は守るべき存在なのか、その価値はあるのか。ドイツ軍が企む悪事を、ダイアナは食い止める事ができるのか――。

 スティーブとその援軍メンバーがあらゆる場面でダイアナに守られ、友情を超えた関係を築いていく。

 単なるヒーロー映画に収まらない。それは浮世離れした彼女が人間愛に触れることで、強さとは常軌を逸したパワーを持つことではなく、愛する人を守るために引き出されるものであることを教えてくれる。

 元来持っているものではなく、作り上げるもの。ヒーロー映画の新しい常識は、ワンダーウーマンが他者と触れ合うことで生み出されていく。
強いからといって“頼らない女”の物語ではない。人が人として強くあるためには、愛する誰かが必要なのだ。

ストーリー

 女性だけの島セミスキラで、プリンセスとして生まれ育ったダイアナ(ガル・ガドット)。
ある日、島に不時着したアメリカ人パイロット・スティーブ(クリス・パイン)を助けた事から、彼女の運命は大きく変わる。

 外の世界で戦争が起きている事を知った彼女は、平和を願う強い意志から外の世界へ飛び出そうと決意する。
世界を救うためにプリンセスから美女戦士へと成長し、最強のスーパーヒーロー“ワンダーウーマン”になっていく――。

8月25日(金)、全国ロードショー 3D/2D/IMAX

監督:パティ・ジェンキンス
キャスト: ガル・ガドット、クリス・パイン、ロビン・ライト、ダニー・ヒューストン、デビッド・シューリス
配給:ワーナー・ブラザーズ映画
原題:WONDER WOMAN/2017年/アメリカ映画/141分
URL:『ワンダーウーマン』公式サイト

Text/たけうちんぐ

次回は<トラウマではない。余韻とも違う。この感覚こそが“戦場”だ『ダンケルク』>です。
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ライタープロフィール

たけうちんぐ
ライター/映像作家
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