あなたは、昔彼と行った思い出の場所や、彼の好きだった食べ物を思い出してしまう、とも仰っていましたね。
それは誰にだってある、普通のことです。
わたしは今年で30歳になりますし、もう結婚して3年なりますが、それでも10代のときに付き合っていた人のことをふと思い出すときはたまにあります。
だって、それは自分が経験したことなんですから、当然です。
小学校の運動会でリレーのアンカーとして走ったときに転んじゃったとか、家族で行った旅行でお父さんにぬいぐるみを買ってもらったとか、そういうのと同じ種類です。
そこで、「こういう風に思い出しちゃうってことは…」なんていちいち自分の心と対話をしていると、どんどん引きずられてより一層モヤモヤが大きくなるのではないでしょうか。
彼との思い出が頭をよぎったとしても、それに理由を求めたり、納得するまで深堀りするのではなく、「こういうことあったな」「懐かしいな～」と表面的なエモーショナルだけを感じる程度に収めることを、あなたにおすすめします。

SNSを見て落ち込んでしまうことについては、「見るのをやめましょう」という非常に端的な回答一択になります。
SNSに限らず、その対象が人でも、ものでも、情報でも、自分の心がザワザワしてしまう存在とは、物理的に距離を取ることが最善です。…が、それができたら苦労はしないんですよね、よくわかります。
なぜあなたは、彼を羨む気持ちや疑う気持ちがないのに、SNSを見てしまうのか、そしてそれによって落ち込んでしまうのか、考えたことはありますか？
おそらく、彼が自分よりも先の人生を歩んでいるような気がするからではないでしょうか。 あなたは彼と別れてから新たに恋愛をする気持ちになれていないようですが、かたや彼は結婚して幸せそうな様子がSNSから見て取れますよね。
だから、なんとなく、自分が置いてけぼりになっている気がしているのではないかな、と推察します。
もしも、今あなたに新しい恋人がいて、その人との生活に夢中になっているのであれば、いくら彼のSNSを見たところで、モヤモヤしたりしんどくなったりしていなかったと思います。

「彼はもう別の人生を歩んでいるんだから関係ない」と相談文にも書かれていることから、きっとあなたもちゃんとわかっているのでしょう。
あなたと彼は、最初から別の人生なのです。

わたしは、インタビューや恋愛相談で「自分と他人を比べないためにはどうしたらいいか」と聞かれることがよくあります。
たいていは「だって比べたところでどうにもならないでしょう」と答えているのですが、その際には決まって、なぜ自分と他人を比べてしまうのかについてもお話しさせていただいています。
多くの場合は、経歴だったり環境だったり、その人と共通点があるからだと思うのですが、一度人生が交わった人というのも、とても比較対象にしやすいんですよね。
特に、相手のほうが自分より先に進んでいるように見えたり、幸せそうに見えたりすると、かつては同じ道を同じ速度で進んでいたはずなのに、途端に自分の人生が味気ないように思えて、焦りが生じるのだと思います。
SNSなんてのは、あくまでも人生の一部で、その人自身が見せたいと思って見せているものですから、こちら側から見えているものが全てではありません。
今のあなたの精神状態だと、彼が意識して見せているものの中でも、自分がつらくなるものばかりを無意識に選んで見てしまっているように感じました。
だからこそ、先にもお話ししましたが、SNSを楽しいツールとして使えるようになるまでは、無理矢理にでも物理的な距離を取ったほうがいいと思います。

人生は、恋愛が全てではないのです。
悩みの種が過去にお付き合いしていた人ということもあり、つい恋愛の部分に注目してしまいがちになりますが、恋愛以外にも、仕事だったり、友達だったり、趣味だったり、娯楽だったり、人生が豊かになることは数えきれないほどあります。
今恋愛をする気になれないということはしなくていい時期なんだと、彼のことが忘れられないのなら無理に忘れる必要はないんだと、今よりも少しだけ視野を広くして物事を捉え、自分のことを受容してあげてください。
過去のあなたは、決して蔑ろにされていたわけでも、誰かと比べてかわいそうなわけでもありません。
そして、今のあなたも、誰かと比べて惨めなわけでも、置いていかれているからと焦る必要があるわけでもありません。
あなたは、あなたです。
ちゃんと、人生は素敵に進んでいきますから、大丈夫ですよ。

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この連載では引き続き読者の皆さまからの恋愛相談を募集します。
最後の一歩が踏み出せない方の背中をドーン！と押すため、今にも崖から落ちそうになっている人を腕一本で引き上げるため、誰かに厳しく叱られたい方の左頬をフルスイングで打つため、わたくしポジティブゴリラは日々ゴリラらしく腕力を鍛えてお待ちしております。

Text／ものすごい愛
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