彼が「運命の人」かは分からない。それでも結婚した理由/妹尾ユウカ

コーヒーを片手に髪をかきあげながら雑踏を歩く女性の画像

「旦那さんは運命の人だと思いますか?」
こう尋ねられて、否定も肯定もできない自分がいた。

 よく、新婚タレントなんかが「夫とは出会った瞬間に“ビビッ”とくるものがあった!」なんて話をしているが、本当にそんなことがあるのだろうか。

 運命の人に出会えたとき。人間誰しも必ずビビッとくるものがあるのだとしたら、私と彼は運命の人ではないということになる。

 つまり、互いに他に運命の人がいるということなのだろうか。

それでも彼と結婚した理由

 私は、彼に「運命」を感じたわけではないけれど結婚した。

 それは、子どもがデキたからではない。

 このタイミングで結婚することになったのは、子どもがデキたからに100%違いないが、相手が彼ではなかったら、私は「結婚」という選択は取らなかっただろう。

 私が彼と結婚することにした理由はいくつかあるが、最大の決め手は2つある。

相手に変化を求めない

 1つ目は私を変えようとしてこないところ。
2年間の交際期間の中で、何においても彼から「変化」を求められたことはない。思考やライフスタイルはもちろん、メイクや服装など容姿においても。

 交際当初は「どうでもいいのかな?」とも思ったが、どうやらそういうことではないらしく、人を好きになった以上は、理解できないことや好ましくないことがあっても、相手に変化を求める前に自分自身の気の持ちようを変えることや、相手の不足を補うように心がけるほうが良い関係が築けると考えているかららしい。

 この考え方は常人のなせる技ではないと思うので、とても尊敬している。

嫌いなものが共通している

 2つ目は嫌いなものが同じであるところ。
「好きな人と共通の好きな物がどれくらいあるか」なぜか皆こればかりにこだわるが、反対に嫌いなものが同じかどうかって考えたことはあるだろうか?

 もちろん、共通の好きなものが多いのは良いことだが、私は嫌いなものが共通しているほうが、結婚においては重要だと思っている。

 なぜなら、好きな映画のジャンルが違っても、無理に一緒に観る必要はないし、観てみて好きになればそれで良い。好きなものが違うからといって、相手を不快には感じない。

 けれど、嫌いなものに置き換えてみるとどうだろうか。

 相手が嫌いなものの中に自分の好きなものが多く含まれていたら、長い結婚生活の中でストレスを感じる瞬間はきっと少なくないだろう。だから、私は共通の嫌いなものが非常に多い彼を結婚相手に選んだ。