ところで、あなたのお父様は本当に100%悪人で、あなたを全く愛さず、
あなたとお母様を捨てたのでしょうか？

　私の持論ですが、100%の悪人なんていません。
今更お父様について調べろとは言いませんが、
あなたは34歳で社会に出てだいぶ経ち、それなりに人に出会い、
人に揉まれ、人を知ってきているはずです。
それは男の人でも女の人でも関係ありません。
そのなかで、完璧に素晴らしい人はいましたか？　またあなた自身は完璧な人間でしょうか？
自分の弱さ、駄目さ、卑怯さ、冷たさを自覚したことはありますか？

誰も完璧じゃないし、弱さも、駄目さも、卑怯さも、冷たさもあるのです。
人の不作為をいつまでも責めても仕方ないことです。
だって不完全な人間が集まって、それでも支え合って社会はできているのです。
あなたはお父様に完璧さを求め過ぎではありませんか？

　つらいかもしれませんが、私はお父様を許すことが全ての始まりだと思います。
それが出来ればあなたは不完全な自分を許すことが出来るはずです。
あなたは不完全な自分を許すことが出来ないから、自分に自信が持てないのではありませんか？

　お父様と仲直りをしろというのではありません。会う必要もありません。
ただ彼も不完全な人間で、当時そうすることしか出来なかったんだ、
キャパオーバーだったんだと自分のなかで処理するだけです。

あなたは今、特に病気でもなくちゃんと生きてるのが文面から読み取れます。
それだけで良いのです。
そして他人の不完全さを責めることなく、
相性や居心地の良い相手を探し続けてください。
必ずあなたと相性の良い人はいるはずです。

無理に急いで自分に自信を持つ必要はありません。
また、ある日突然自分に自信が持てるということもありません。
でもまるごとの自分を受け入れて、他人を許すことは出来るはずです。
そう考えることでずっと生き易くなるはずです。
そしてゆっくりなりたい自分を目指したり、素敵で相性の合う人を見つければ良いのです。

34歳なんてまだまだ若い！
そうやって日々を積み重ねたらいつか自分を好きになれるはずです。
そして少しでも上機嫌な時間が増えていけば結果として過去はどうでも良くなるでしょう。

Text／肉乃小路ニクヨ