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  • 2017.12.21

「容姿が可愛くない女の子」がスカートを履くことについて

幼い頃、スカートを履かない女の子だった。それは「可愛いものが苦手」というより、「可愛いものを身に着ける自分」への嫌悪感があったから。「普通の女の子」になりたくて「普通の女の子ファッション(=スカート)」を選んでいた白井瑶さんが、本当に欲しかったものは。

スカートとハイヒールを持った女性の画像
by Dhyamis Kleber

 自分の容姿が美しくないのは、幼い頃からなんとなくわかっていた。
どこか1箇所直して絶世の美女になれるなら、とっくに整形していたと思う。けれど、残念なことにわたしの顔は、致命的な欠点があるというより「微妙に垢抜けないパーツが、微妙な配置で顔面に集合している」という印象で、どこから手を付けていいかわからないまま大人になってしまった。

スカートが履けない女の子

 小学校の頃、わたしはスカートを履けない女の子だった。親が買ってくるひらひらのスカートやピンクのブラウスを頑なに拒否し、男の子のような格好で生活していた。髪型はショートカット。選ぶのは水色。どれも自分で決めたことだった。
周囲からは、女の子らしいものが苦手な子だと思われていただろうが、そうではない。“女の子らしいもの”ではなく、“女の子らしいものを身に付ける自分”が苦手だったのだ。

 当時は楽器を習っていたので、発表会ではワンピースを着せられた。小学4年生の頃、両親が用意してくれたのは、花の刺繍とリボンをあしらったパステルブルーのワンピース。わたしが水色が好きだったから選んでくれたのだと思う。
でも、わたしは泣いて拒絶した。とても可愛くて素敵だったからだ。そういう可愛いものたちは、可愛い女の子向けにデザインされている。その「可愛い女の子」に自分は含まれていないから、こんな服を着てはいけないと思った。

普通の女の子になりたくて

 以前の記事(セクハラの記事)でも書いたが、中学時代に学校でセクハラを受けていた。もちろん楽しい記憶ではないが、皮肉にも『可愛いもの』にもう一度手を伸ばせたのもあの頃だった。

 中学生といえば、異性の目を意識しはじめる時期だろう。でも、当時のわたしが異性を気にした理由は「好きな男の子に振り向いてほしい」とか「モテたい」といった健全な発想ではなくて、「男子にキモいと思われたら終わり」「ブスと言われないためには何だってする」という、かなり後ろ向きなものだった。
決して美人でないことは自覚していたから、せめて普通の女の子として扱われたかった。男子からからかわれるような趣味のない、ツッコミどころの少ない『普通の女の子』として。

『普通の女の子』は可愛いものが好き。だから、わたしも可愛いものが好きでいいんだと、この頃はひたすら自分に言い訳をするようにスカートを買ったのを覚えている。それからしばらくは、『(わたしが思う)普通の女の子ファッション』を続けた。発想が貧困だったため、女の子=スカートだと思い込み、私服はほとんどスカートになっていた。

可愛くなった先にあるもの

 中学以降は、漠然と「可愛くなりたい」「美人になりたい」と思って生きてきた。こう書くと「つまりモテたいんだろ」と言われるかもしれない。でも、「美人じゃないけどモテる人」と「モテないけど美人」の二択があるなら、わたしは小学校時代から一貫して、モテない美人を選んだだろう。あんなに男子を怖がっていた、中学校時代でさえも。 

 そう考えた時、わたしが欲しかったのはキレイな顔ではなくて、自分を肯定できる自信だったと気づいた。手に入るなら、別に美しさでなくても何でもよかったのだ。例えば圧倒的な運動能力や、芸術的なセンスとか。そういう飛び抜けた才能が自分にないのがわかっていたから、わかりやすい「美」に焦がれたのだと思う。自分に自信がないと、他者からの評価がそのまま自分自身への評価になってしまう。美女としてチヤホヤされたいわけでなく、あの教室で何を言われても背筋を伸ばせる自分でいたかったのだと、今になって思う。

 大して可愛くもなく、特別な才能を持たないわたしは、ヘラヘラ媚びて、誰かの機嫌をとってはじめて、自分はその場にいて良い人間になれる気がした。
だけど本当は、そんなことしなくても、自分の存在を肯定できるようになりたかった。だから、可愛くなるための努力は、他人の目を意識しているようで、自分で自分を認めるための祈りみたいなものだったのかもしれない。

 スカートを履けなかった日々も、逆にスカートしか履けなくなってしまった日々も、ファッションは自分を閉じ込める檻になってしまっていた。
やっとファッションを楽しめるようになった今は、毎月のカードの請求額にふるえている。


Text/白井瑶

次回は<女はプレゼントで男はセックス・・・世の中の「愛のものさし」は本当か?>です。
彼からのクリスマスプレゼントって曲者です。彼が一生懸命選んでくれたものでも、自分があげたものとの値段の差が気になってしまったり。でも、微妙に気持ちになってしまうのはプレゼントのせいではなく、彼の愛情をプレゼントで測ってしまう自分のせいかも。白井瑶さんがクリスマスプレゼントについて考えたこととは。

ライタープロフィール

白井瑶
ゆとりのアラサーOL。
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