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  • 2017.08.31

勝手に貼られた「結婚できない女」シールなんてペリッと剥がして燃やせばいい

妙齢になって結婚していないと、結婚「できない」のレッテルを勝手に貼り付けてくる奴ら。しょうもない独身イジりをかわさないといけない義務感。確かに迷惑ではあるけど、どう受け取るかは自分の気の持ちよう次第かも。

免許、持ってますか?

カラフルな電球に囲まれベッドでうずくまる女性の画像
by Allex Bellink

 わたしは運転免許を持っていない。必要なかったからである。年配の方には驚かれることもあるが、大抵は「そう。必要なかったんだね」とさらっと返されて終わりだ。「免許をとる能力がない」とか「とりたいのにとれないのでは」なんて言われたことも一度もない。
でも、それが結婚となると、「必要ない」ではどうやら済まされないらしい。

しない女とできない女

 わたしが初めて就職した会社は、従業員200名ほどの中小企業だった。良く言えばアットホーム、悪く言えばプライバシーに無頓着な職場だった。
新入社員の自己紹介後に「彼氏(彼女)はいるの?」という質問が飛ぶのはザラで、入社して3ヶ月もすれば、独身社員の恋人の有無が大体把握できてしまう。常に噂話が飛び交い、「◯◯さんは別れたらしいよ」「✕✕さんは女子大生と付き合い始めたって」などと情報はアップデートされていく。
配属先の女性社員の優秀さに気圧されて、結婚に逃げたくなったことは第1回目のコラムに書いた。でも、本当のことを言うと理由はそれだけではなかった。

 女性が未婚のまま“ある一定の年齢”を超えると、「結婚できない女」として雑に扱うことがどうやら許されるらしい。もちろん「一部の男性の中では」という但し書き付きだが、少なくともあの職場ではそれがまかり通っていた。
ことあるごとに「だから結婚できないんだよ」「そんなんじゃ嫁にいけないぞ」なんて軽口をたたかれ、言われた方はスマートにかわす義務があるかのようだった。

「白井ちゃんは彼氏いるんだっけ。
ここのおばさんたちみたいになる前に、さっさと結婚しちゃいなね。」

 複数の部署合同での歓迎会という場。しかも、先輩たちのいる前で、ある男性社員にそう言われた。彼に悪気があったかと言えば別になかったのだろうし、むしろ新入りのわたしを持ち上げたつもりだったのかもしれない。でも本当に頭が悪い。嬉しいわけがないし、その場で放り投げられた私が困るのがわからないのだろうか。

 当たり障りのないリアクションでなんとかかわそうとするわたしを見て、先輩のひとりが「ひどーい!」なんて明るい声で場を和ませてくれた。
ははははは……。わたしは愛想笑いで場に溶け込みながら、どんなに優秀で素敵な女性でも、このしょうもなさすぎるイジりから逃げられないんだなと、ひどく虚しい気持ちになった。

 しかし、社内には1人だけ、その例外となる未婚女性がいた。社長を含む創業メンバーの1人で、唯一の女性幹部だった。聡明なのは当然だが、目を引くのはその美貌だった。
天海祐希さんをイメージしてほしい。凛とした立ち姿、完璧に手入れされた肌や髪。投資家としても才能があり、40前にして相当な資産を手に入れていた。
あまり自分のことを話さない人だったが、彼女に関してだけは「あの人は結婚する必要ないもんね」とみんなが口を揃えた。「できない」のではなく、「できるがしない」女と認められていたのだ。

「できない女」と「しない女」の組分けに女性本人の意志は関係ない。男がひれ伏す女でなければ「できない女」。簡単な話だ。

 当時のわたしは仕事はできないし、まぁまぁブスだし、他に秀でた才能もないし……と全く自信を持てずにいた。その上「結婚できない女」の焼印まで押されたら、もう立ち上がれる気がしなかった。
そういう意味では自分のスペックを少しでも上げるために、迫りくる「できない女」の焼印を既婚者バリアで回避したかったのだ思う。

不審者印のシールは燃やせる

 でも今は、「結婚できない女」のレッテルは焼印を押されるなんて大げさなことではなくて、知らない人から勝手にシールを貼られるくらいの出来事なのだと認識している。シールだけでも迷惑だが、ペッと剥がして捨てればいい。
それでも隙あらばシールを貼ろうとしてくる不審者は現れるだろうが、わたしたちにはその度に燃やす自由もある。
ついでに言うと、「結婚できない女」シールと同様に、彼らがジャッジする「結婚できるがしない女認定」シールにもそれほど価値はないように思う。彼らは「そんなんじゃこのシールはあげられないよ?」などともったいぶるかもしれないが、それを受け取ったところで税金は免除されないし、補助金が出るなんてこともない。頑張って手に入れるようなものではないのだ。

「ここのおばさんたちみたいになる前に、さっさと結婚しちゃいなね。」

 そう宣った男性社員は当時30代後半の独身で、「おばさん」呼ばわりした女性たちの平均年齢を超えていた。シール貼りの不審者なんてそのレベルのアレなのである。
こいつの上司たちの前で、「出世と引き換えにここのおっさんたちみたいにハゲたんじゃたまりませんもんね」などと言ってやってもよかったなと思う。悪気もなければ配慮もない、IQ3のアホみたいな顔で。

Text/白井瑶

次回は<結婚したら女はモテる…モテ市場から退場した彼女の独白>です。
「既婚者はモテる」と言いますが、結婚後に異性を惹きつける魅力が増すのはどうしてでしょうか。強制的に「モテ市場」に並ばされる独身者と、拒絶される恐怖から解放された既婚者の違い。既婚者になることの自由とは。白井瑶さんが既婚者の「モテ」について解明します。

ライタープロフィール

白井瑶
ゆとりのアラサーOL。
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