恋焦がれた相手が生身の人間になる瞬間
片想いというのは、蜜の味だと思う。
自分が一方的に想う側でいるときは、実に気楽である。
報われない想いは、辛いようで実は甘い。
なぜなら相手は生身の人間ではなく、自分が勝手に作り上げた“理想の異性像”を着せた相手だから。
そもそもが幻のような存在である。幻相手には幻滅することもないし、二人の関係維持のために自分が何かを我慢することもないし、異なる意見をぶつけ合って互いに消耗することもない。
ただただ、ぬるく甘く思い続けていられる。
基本的に、交際前というのは良い面ばかりが見えている。
全てが見えているわけではないからこそ、見えない部分には“理想の異性像”を無意識に補ってしまうからだ。
しかし、相思相愛になった時点で、相手はただの生身の人間として、自分と同じ土俵に立つ存在へと姿を変える。
ああこんなところもあるのかと驚いたり落胆したりするだろう。交際に発展すれば尚更である。
例えば、スーツ姿は素敵だったのに私服がダサいとか、甘い言葉は得意だけれど行動が伴っていないとか、思った以上に小言が多いとか。
大きなことから些細なことまで、理想通りの人じゃない! と感じることは多々あるだろう。
それらひとつひとつと向き合って、解決したり折り合いをつけたりして、なんとか二人で生きていこうと頑張るのが、愛し愛されて生きていくということではないだろうか。
恋はお互い様であると理解すること、そして理想通りの人間なんていないからこそ、生身の人間と愛し愛されて生きていくぞと覚悟を決めることが大切なんじゃないかと思う。
互いに、幻滅したり、傷ついたり、傷つけたり、本当の自分の姿をわかってもらえないと嘆いたり、わかってもらう努力をしたり、ありのままの相手を認めようと努力したり、そんなふうに試行錯誤をしながら共に生きていこうと決めることが、恋愛への第一歩なんじゃないかなと、わたしは思う。
Text/うろんちゃん
初出:2017.02.08
次回は <カレの本心の見極め方って?それは自分が堀北真希だと思い込むことだ>です。
女性をモノのように扱ったり、セックス目当てで近づいてきたり、「悪い男」は確かにこの世に存在するもの。でも、世の中にはそんなわかりやすい悪い男ばかりではなくて、本心が掴めない男性が多いのが現実。そんな状況で役に立つ、「悪い男」の見極め方をうろんちゃんがAM読者に提案します!
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