平気で「妥協」を提案してくる母親

しかし、お母さんの攻撃は婚活を始めたあとも止まらない。
わたしの場合、いざ本格的に婚活を始めるや否や今度は、実家に電話をするたびに「結婚相談所に入ってるくせに、いい人はいないの? この前言ってた、デートした人はどうだったの? またそんな贅沢言って! だからその年で独身なのよ! 妥協を知りなさい!」と、頻繁に叱られていた。

母親とはもちろん、自分の幸せを最も願ってくれている人の一人であることは確かだろう。でも同時に、実に勝手な生き物であることも事実だ。

彼女は、自分が結婚するわけではないので、平気で「妥協」を提案してくる。
もちろん、完璧な人などこの世にいないのだから間違ってはいないのだが、妥協を自覚した上で結婚相手を選ぶのはいかがなものかと思う。

相手に対して失礼極まりないし、もし逆に、自分に対して相手が「顔はまあまあ可愛いし料理もできるから、貧乳で稼ぎが少ないところは妥協してこの子と結婚しよう」などと思っていたら最悪だ。
結婚を決めるときに重要なのは、妥協を妥協だと思わないことじゃないだろうか。あばたもえくぼというが、マイナスポイントも、まあなんとか頑張って乗り越えていこうと思えるかどうかである。

そしてあばたをえくぼにするためには、恋心は非常に有効だ。そこを無視して妥協を提案してくる母親の話は、真に受けずにじゃんじゃん聞き流してしまおう。

婚約指輪の価格で娘にマウンティング

それでも、結婚が決まれば喜ぶのがやはり親…だとわたしも思っていた。が、甘かった。やっとのことで交際に漕ぎ着け、順調に交際を重ね、ようやく結婚します! という最高にハッピーな報告をした際、母は決して手放しでは喜んでくれなかった。それどころか、執拗なダメ出しが入った。

そんな今更…と言いたいところではある。彼氏が出来た時は喜んでいたし、紹介したときもウキウキだったし、早く結婚結婚結婚結婚と呪文のごとく繰り返していたはずだ。

それでも、いざ結婚が決まると何かしらケチをつけたいものらしい。これは、母親のマリッジブルーなんだなと思った。  ケチをつけたい理由は恐らく3つ。
ひとつは、大事な娘に苦労をしてほしくないからというスタンダードな親心。
2つ目は、娘の夫のステータスは自分のステータスにかかわると思っているという、ちょっと不純な理由。うちの母はいわゆる箱入り娘であった。短大を卒業し、一度も社会に出たことがないまま専業主婦をしており、趣味はフラワーアレンジメントと韓流ドラマ鑑賞。かなり偏った世界で生きていて、簡単に言えば、超絶見栄っ張りである。「大学はどこ? お勤めは? ふ〜ん。共働き? 冗談でしょ? 子供を産まなきゃいけないのよ! え? 長男? 同居しなきゃいけないじゃないの! 聞いてない!」と、それはそれは強固な価値観の押し付けが続き、挙句の果てには婚約指輪の価格でマウンティングをしてきた。そう、マウンティング。
3つ目の理由は、娘と張り合いたいからだと思う。娘が手を離れるという喪失感と同時に、既婚女性という同じフィールドに立つ女性として娘を捉えるようになるのだろう。

わたしはもう30歳近いので、母のこういった複雑なマリッジブルーにもどうにか対応できたが、25歳そこそこの頃に同じ状況に陥っていたら、心が折れていたかもしれない。

だから、お伝えしておきたい。母親のマリッジブルーはとにかく流せばいいのだ。そして、結婚相手の彼にも“うちの母はちょっと特殊だから気にしないで!”と言っておくことが大切だ。

そうして、二人で力を合わせてお母さんを乗り越えれば、よりいっそう二人の絆を深めることもできる。わたしにとって、彼との初めての共同作業は、ウエディングケーキ入刀ではなく、自分の母親の対処だったように思える。

世の中の全てのお母さんがこんな風ではないだろうが、ちょっと心当たりのある妙齢女性の方にはどうぞ、お母さんに惑わされることなく、己の信じる幸せを掴み取ってほしいと願う。

Text/うろんちゃん

初出:2017.01.18

次回は <「自然に付き合う」なんて相手任せすぎる。恋愛スイッチは手動でオンしよう>です。
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