終止符があるから世界は愛おしくて切ない。痛みよりも欲望を手にとる生き方を

服を着たままバスタブに入り寂しげな女性の画像 Naomi August

 私は自死に必ずしも否定的な立場ではありません。
私自身は好奇心が強過ぎたり、まだまだピークが来ていないとしぶとく
思っているからほとんど考えたこともないですが、
人はそれぞれの事情や考え方、痛みの感じ方も環境も違うから、
自死が必ず良くないとは言い切れないのです。

 ただ、自死をことさら持ち上げることもしたくありません。
やっぱり残された人達は辛いし、
周囲はどんな人が居なくなっても悲しいと思うからです。
病死や事故などの死は悲しいですが、
理由がはっきりとしているので諦めがつきます。
でも自死をされた場合、周囲には何か出来ることがあったのではないか
という自責の念にかられる時間が生じます。

 自死を選ぶ当事者は痛みで思考停止をして、
痛みを終わりにしたいと願う気持ちで自死を選ぶことがほとんどなので、
最終的にはそこを察して、諦めるしかないのです。

昨年起こったいくつかの自死

 昨年末、あるKPOPのスターが自死を選び、
そのファンであった私の友人はとても悲しんでいました。
同時期にとある神社の権力争いで姉弟が殺人の末、
弟が自死するという事件がありました。
こちらはおそらく多くの人が自業自得だと処理をしたのではないでしょうか。
その少し前には自死をしたがる人を招き寄せて殺人を犯した男が捕まりました。
またアメリカのユーチューバーが青木ヶ原樹海で自死した人の姿を前に嘲笑していた件で
不謹慎だという話題もありました。

 人の死に貴賎が無いと思いながら、
同じ自死だけど別物のように扱おうとする私達はやっぱり
矛盾を孕んでいて、不平等で差別的だということを自覚しなければなりません。
でもそれが人間だから仕方ないとも思うのです。