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  • 2018.01.30

終止符があるから世界は愛おしくて切ない。痛みよりも欲望を手にとる生き方を

昨年2017年は、KPOPスターの自死や、自殺願望者を集めての連続殺人、富士の樹海の自殺者を嘲笑したYoutuberの炎上など、自死にまつわる様々な事件が起こりました。そこから考えた、ニクヨさんの死生観とは。

服を着たままバスタブに入り寂しげな女性の画像
by Naomi August

 私は自死に必ずしも否定的な立場ではありません。
私自身は好奇心が強過ぎたり、まだまだピークが来ていないとしぶとく
思っているからほとんど考えたこともないですが、
人はそれぞれの事情や考え方、痛みの感じ方も環境も違うから、
自死が必ず良くないとは言い切れないのです。

 ただ、自死をことさら持ち上げることもしたくありません。
やっぱり残された人達は辛いし、
周囲はどんな人が居なくなっても悲しいと思うからです。
病死や事故などの死は悲しいですが、
理由がはっきりとしているので諦めがつきます。
でも自死をされた場合、周囲には何か出来ることがあったのではないか
という自責の念にかられる時間が生じます。

 自死を選ぶ当事者は痛みで思考停止をして、
痛みを終わりにしたいと願う気持ちで自死を選ぶことがほとんどなので、
最終的にはそこを察して、諦めるしかないのです。

昨年起こったいくつかの自死

 昨年末、あるKPOPのスターが自死を選び、
そのファンであった私の友人はとても悲しんでいました。
同時期にとある神社の権力争いで姉弟が殺人の末、
弟が自死するという事件がありました。
こちらはおそらく多くの人が自業自得だと処理をしたのではないでしょうか。
その少し前には自死をしたがる人を招き寄せて殺人を犯した男が捕まりました。
またアメリカのユーチューバーが青木ヶ原樹海で自死した人の姿を前に嘲笑していた件で
不謹慎だという話題もありました。

 人の死に貴賎が無いと思いながら、
同じ自死だけど別物のように扱おうとする私達はやっぱり
矛盾を孕んでいて、不平等で差別的だということを自覚しなければなりません。
でもそれが人間だから仕方ないとも思うのです。

私の死生観

 私にとって初めての近親者の死は小学校3年の時に祖父が亡くなったことでした。
当時は人が死んで消えてしまうことがとても恐ろしく、
この世から何も亡くなってしまうことがただただ怖くて、
死は暗い闇の中に突き落とされるような感覚でした。

 中学生の時には自分が死んだ夢を見ました。
夢の中で、自分の葬式に制服を着た友達が来てくれて、話しかけても
誰も気づいてくれない。みんな自分の遺影に手を振っていて、
なぜかBGMに坂本九さんの「上を向いて歩こう」が流れていました。
途方もない孤独で泣きながら目を覚ました記憶があります。

 それから20歳の時に父が亡くなり
他にも二人の祖母や伯父の死を経験しました。
尊敬していたゲイの先輩や後輩などの死も経験しています。
いくつもの死を経て、私は徐々に死をただの恐怖であると捉えなくなりました。
死は一つのピリオド。終止符。
そして何事も終止符があるから愛おしくて、切なくて、醜くて、美しいのだ、
と思うようになりました。

Stay hungry, stay foolish.

 永久に眠るかもしれないし、輪廻転生をするかもしれない。
私はどちらかというと輪廻転生じゃないかと考えているんですが、
それも死んでいないので、よくわかりません。
どちらにしても死という区切りがあることで、
それまでに何をしようかということを考えるように
凡人は設計されています。私もそうです。

 私はまだまだ好奇心が旺盛で
これからの科学技術で人間がどうなっちゃうのか?と本気で考えてみたり、
もっと歌が上手くなりたい
もっと美味いものを食べてみたい
もっと良い男に触れてみたい
もっと面白い人に会ってみたい
とか下世話で俗っぽい願いを持った人間です。

 あまり高尚なことを考えると早く区切りが来てしまいそうで、
敢えて多少下世話な願いを持つようにしています。
だって早く区切りを迎えた人はだいたい素晴らしい人だったから。
賢いことは素晴らしいことですが、賢くないこともまた人生には大切なのです。

 Stay hungry, stay foolish. というスティーブ・ジョブズが
遺した名言を都合の良いように解釈しながら生きていく
2018年の冬の私です。


Text/肉乃小路ニクヨ

次回は<2018冬季五輪まもなく!女子フィギュアスケートの私なりの楽しみ方>です。
2月9日から2月25日は、2018年平昌五輪!肉乃小路ニクヨさんが楽しみにしているのは、スキーでもスノーボードでもなくフィギュアスケート。バンクーバー五輪、ソチ五輪の浅田真央さんに涙したニクヨさんの今年の楽しみ方とは。

ライタープロフィール

肉乃小路ニクヨ
東京の片隅でひっそり生き続けるちょっぴりしょっぱくてサワーなニューレディー。オーバー40歳、崖っぷち女装
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