3年ぶりに受けたストレングス・ファインダーと、私にない資質をもった女性『ヒカリ文集』

by Priscilla Du Preez

先日、およそ3年ぶりに「ストレングス・ファインダー」を受けた。「ストレングス・ファインダー」とは、アメリカのギャラップ社が開発した自分の強みを診断するテストのようなもので、(有料だけど)誰でも受けられるため、気になる人は検索してみてほしい。

さてこの診断テストの結果、2022年現在の私が強みとして持っている資質でトップに来たのは、より高みを目指し物事を極めようとする「最上至高」だった。数年前まで「資質に最上至高がある人って意識高そうで苦手~」とか思っていたのだが、自分がその資質の持ち主、しかもトップに来てしまった。

うーん、理由はよくわからないが、思い当たる節としては、趣味でやっている小説書きのせいではないかと思う。創作を極めたいし、もっと上手くなりたい。自分の書く小説はたった一行でも気に入らないところがあれば納得いくまで徹底的に直すし、我ながら、自分のアウトプットにものすごく厳しいと思う。この資質を仕事に活かせればもうちょっとマシになれるのかもしれないが、残念ながら私の「最上至高」は今のところ、主に趣味の分野でしか発揮されていないのであった……。

が、言われてみれば確かに、私は「欠点や短所を克服する」よりも「長所を伸ばしまくることで短所をカバーする」考え方のほうが得意だし好きなので、やっぱり「最上至高」は資質としてけっこう当てはまっているのかもしれない。ちなみに上位に来た他の資質は、「内省」「戦略性」「収集心」「着想」でした。

「ヒカリ」の寄り添い力の高さ

ところで、「長所を伸ばしまくることで短所をカバーする」考え方のほうが好きなので最近は自分の短所についてほとんど気にしなくなってしまったのだが、私が自分の短所として自覚しているのは、「気配りをする」とか「人の気持ちを察する」とか「相手が言ってほしい言葉を投げかけてあげる」とかである。つまり、占い師とか飲み屋のホステスさんとかが完全に向いていない。あと、結果的に私は人生に恋愛をあまり必要としないタイプなので救われたが、恋愛的な意味ですごくモテない。

そんな私のようなタイプとは対極的な人間が、松浦理英子の『ヒカリ文集』には登場する。この小説は、とある劇団のサークルクラッシャーのような存在として団員たちの心を乱し続けた「ヒカリ」について、彼女の元恋人や元セフレが述懐するオムニバス形式の作品だ。

ヒカリは徹底的に相手に寄り添い、共感し、慰め、相手の言ってほしい言葉を適確に投げる。少し好意を抱いた程度の相手になら誰にでもそれをやるので、幾人もの男と女を闇堕ちさせてしまう(ヒカリはバイセクシャルである)。20代の頃を振り返ると、ヒカリほどのレベルではなくても、こういう人間が確かにコミュニティに1人くらいはいた気がする。

私のまわりにいた「ヒカリ」たちは、30代に進むにつれ徐々に自分の特性の使いどころを磨いていったのか、恋愛ではなく仕事や家庭でのみこの能力を発揮するようにシフトしていったように思う。30代にもなって恋愛絡みでコミュニティをクラッシュさせたり闇堕ちさせられたりしていたら、お互い大変だ。

しかし『ヒカリ文集』のヒカリは、劇団にいた皆が社会人になった今は行方知れずで、どこかアジアの国に滞在しているらしいという情報だけが共有されている。相手に寄り添うのが得意な人ってなんだかんだ器用なイメージがあるけれど、ヒカリは蓋を開ければ、決して器用なタイプではなかったのだ。