自分を押し殺すことは人生を踏みにじること――マイノリティへの幻想

自分の居場所を見つけられるか?

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 ちょっと前、フロリダのゲイクラブで大量無差別殺人が起こりました。
事件が起こった当初、ISによるテロだとか、ゲイに対するヘイト(憎悪)による殺人だとニュースで伝わってきましたが、詳細を追っていくと、どうも本当の動機は別のところにあるようでした。

 無差別殺人を行った男は既婚で熱心なイスラム教徒でしたが、ゲイのアプリを利用していて、事件が起こったゲイクラブにも常連として顔を出していたとのことでした。

 私はこの話を聞いたときに、「アメリカン・ビューティー」という映画を思い出しました。
この作品は会社をクビになった中年男が、自分の娘の同級生に恋をすることで、自由と若さを取り戻していくお話で、アメリカ人の抱える現実や孤独、ナイーブな愛情などを描いています。
その映画の中に、厳格な家庭を持つ軍人の隣人男性が出てきます。
実はその男はクローゼットのゲイで、誤解から大変悲しい事件を起こしてしまうというシーンがありました。

 ちなみにクローゼットのゲイとは、カミングアウトをしないでクローゼット(押入れ)に隠れているゲイのことを言います。
当事者が亡くなってしまったので、詳細はハッキリしませんが、今回の無差別殺人を行った男もクローゼットのゲイだったと思われます。
だけど「アメリカン・ビューティー」の頃にはなかったゲイ用のスマホアプリやネットの情報などで、その頃よりはるかにゲイ・コミュニティにアクセスしやすくなって、接点を持ってしまったのです。