どうなったのかな…後味が悪い理由

今でも歯医者の治療用チェアに昇ったときに、ふと「あの奥歯はどうなったのかな」と、なんとも後味の悪い気持ちが涌いてくることがあります。長い間ずっと、なぜ後味悪い感情が沸き起こってくるのか、その原因がよくわかっていなかったけれど、最近ようやく気が付いたのは、その苦みは、彼がセルフネグレクトするところを目にしながら、「ぶつかるのが、面倒くさい」という理由で見ないふりをしてしまったから来ているのではないか、ということです。

「『歯医者に行くべき』と説得する筋合いもない」と思っていたのは“立派な大人”だと思っていたからだけど、実は“支援が必要な人”だったのかもしれない……なんて苦い思いを噛みしめつつ、今回のメンテナンスは歯石取りのみで終了。虫歯がなくてよかったです。

Text/大泉りか