カウンセリングが冒険にもなる

最後に。10年一緒にいると、関係もマンネリしがちです。一緒に出掛けるのも新宿、渋谷、中野とパターンが決まってきて「ランチをしよう」という話になっても「どこにしようか、あそこはこないだ行ったし、あの店はあんまり美味しくないし……」と共通の記憶を探ることになる。それはそれで、夫婦の歴史の積み重ねという意味で決して悪くはないのだけど、けれど夫婦がずっと楽しくいるためには、「共に冒険をする」という要素が必要なのではないかと思うのです。

わたしたち夫婦がカウンセリングを受けているのは、これまでまったく疎遠だった都心のビジネス街。ゆえに、新鮮な気分でランチの店を選ぶことができる。「知らない街でランチを食べる」なんて、すごく些細なことだけれど、夫婦に必要なのは、そういう小さな日常の小さな冒険と、ちょっとした楽しみ、喜びに満ちた時間の積み重ねではないかと思うのです。

Text/大泉りか