彼がウザいのはオジサンだからではなく、彼がそういう人間なのだ

大泉りかコラム

オジサンというだけで忌み嫌って中傷するのは、ヘイトじみていてよくないことだとは理解をしています。しかし、実際にお年を召した男性に嫌な思いをさせられることは多く、ついつい文句も漏らしたい気持ちになってしまう。特に最近は、“若い女”扱いされなくなったことで、めっきりセクハラに合うことは減ったものの、代わりに“目下の何か”という箱に入れたようで、どんなにぞんざいに扱ってもいいとされているきらいがあります。

今年の初秋に事故に遭いました。自転車で道路左側の歩道を通行中、真正面でいきなり立ち止まった壮年男性を避けようとして、後部座席に息子を乗せたままスリップしたのです。転倒は、なんとか避けることができたものの、倒れる寸前、地面すれすれまで傾いた自転車の座席でビックリして泣き叫ぶ息子。しかし、転びかけたはずみで、ハンドルが肋骨に突き刺さったわたしは、その激痛で自転車を起こすことができないという修羅場。

周囲にいた人たちがすぐに駆け寄ってくれて、自転車を起こすのを手伝ってくれたり、心配の声を掛けてくれたりと、場が騒然とする中、事故の原因になった当の男性は、手を貸すことどころか、一言もなしにさっさと現場を去っていってしまいました。

基本的には自分でコケただけだし、相手の責任を問う気はないけれど、それにしても、「大丈夫ですか」の一言もないって、どうなのでしょうか。“目下の何か”がどうなろうとも、俺様には関係のないことだと? 後から調べたところ、“非接触事故”として、立派に相手の過失を問うことができる案件らしいし、念のために病院でレントゲンを撮ってもらったところ、見事に肋骨が折れておりました。

韓国旅行のフライトでオジサンの隣になり…

路上で対面してすれ違う際に、「ンッ!」と大きく咳払いして、こちらが避けるように威嚇してくるとか、電車のシートで隣の席が開いているのに手を伸ばして置いて、女性が座ろうとすると「カァッ!」と威嚇、男性が座ろうとしたら黙って手を自分のところに戻す、とか、これまで目撃したオジサンのムナクソ悪い奇行は数知れず。
しかしいちいち、突っかかっていってはこちらの身も持たないから、「積極的に関わろうとしないのが身の為」という結論に達したのですが、不可抗力もたまにはあります。先日の韓国旅行の帰りのフライトの隣の席が、運悪くもオジサンだったのです。

飛行機で我々一家に割り当てられたのは、4列シートの3席。その残り1席に座っていたのは60代くらいの男性でした。仕方なく息子を真ん中に挟む形で、トイレの近い夫が端の通路側、わたしがオジサン側に座ることになったのですが、とにかく憂鬱です。
だってオジサンって機内では、靴を脱ぎがちだし足は臭いがちだし女は遠慮しろとでもいわんばかりにひじ掛けのこっち側に平気で腕をはみ出させてくるし子どもが騒いだらほら見たことかって勝ち誇って嫌味をいってくるしで隣に座っていいことなんてないじゃないですか。嫌な思いをすることなく、無事に東京に到着できるといいなぁなんて思っていました。