なぜ謝れないの?寝ぼけて殴ってきた彼氏に「ヒドイ女だ」と逆ギレされて

ベッド

男性に殴られたことが、ありますか?
わたしは基本的にはありません(なぜ「基本的には」というエクスキューズが付くのかというと、SMのプレイとしてだったり、その延長戦上ではあるからです)。

けれども、意識的にではなく、うっかり殴られてしまったことはあります。かつて付き合っていた男性と、一緒に寝ていたある夜のこと。深夜、「なんなんだよ!」という叫び声と同時に、腹部に強い衝撃を受けたのです。

「痛っ!」と飛び起きて「何すんのよ!」と恋人を振り返ると、寝ている。叫んだのも、わたしを殴ったのも、どうやら寝ぼけてのことらしいのです。しかし寝ぼけたとしても、なにか一言いってやらないと気が済まないくらいには、強く殴られていたし、拳が当たった箇所が痛む。

一方で、寝ている恋人をわざわざ起こすのが可哀想だという思いもありました。
朝の6時すぎには家を出て現場に向かい、帰りは時に終電間近にもなる激務で、いつもへとへとな彼をわざわざ起こす必要があるのか。明日にでも改めて話せばいいのではないかと思う一方で、夜中、意味不明に起こされたわたしの怒りは、納まりがつきません。

目覚めた彼氏がまさかの……!?

いま起こして一言いうべきか、それとも、明日にするか……悶々と迷いあぐねていると、不穏な気配を感じたのか、彼も目を覚まして「どうしたの?」と尋ねてきました。渡りに船とばかりに、「わたしいま、寝ぼけて思いっきり殴られたんだけど」と告げたところ、恋人の反応は「は? そんなこと言われても知るかよ」とまさかの逆ギレ。

途端に頭に血が上り「はっ? まず殴ったことを謝るのが当然でしょ? あなたは電車の中で人の足を踏んでも『わざとじゃないから』って謝らない人なの?」と、誰でも理解できるように、クソわかりやすく説明したものの「なんだよ、責めるなよ。頼むから」と、かたくなに謝らない。

「責めてないけど、殴ったことは事実なんだから、怪我を心配したりできないの?」
「なに、俺のせいなの?」
「そう、あなたのせいです。すごい痛かったんだけど」
「そんな話をいま、しないといけないの? 俺、明日も早いんだけど」
「じゃあ殴っておいて、痛い思いをしているわたしを放っておいて、ひとりだけさっさと寝るわけ?」
「勘弁して。寝かしてくれよ。お前、ホントに酷い女だな」
「酷いことをしたのはそっちでしょう」

と、どこまでも平行線。

それにしても、ここまでして謝らないのってなぜなのでしょうか。「ごめん、悪かった。大丈夫?」と一言いえば済む話なのに、なぜ「責めるなよ」と、なるのか。

そんな、かつての恋人の気持ちが分かったのは、それからずいぶん経った、一昨年のことでした。