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  • 2017.12.16

「特定の彼氏を作らず遊ぶ!」という決意を撤回させた最高に好みの男

「結婚までは特定の彼氏を作らず遊ぼう」と決めた、20代の頃のAMライター大泉りかさん。しかし、理解者を求めるより顔とSEXで男を選ぼう、と早々に決意を撤回して交際を始めるのでした。その選択の結果は…。

「特定の彼氏を作らずに遊ぶ」と決意

白い壁の前でポケットに手に入れたまま視線を外す上半身裸の筋肉質な男性の画像
by Pexels

 先々週書いたとおり、恋人との同棲を解消したわたしは、ひとり暮らしを始めました。親元を離れた時は弟とルームシェアをしていたし、その次は恋人との同棲だったので、ひとり暮らしをするのは初めてでした。

 心機一転すると同時に、わたしはひとつ、決めごとを作りました。それは「しばらくは特定の彼氏を作らずに遊ぶ」ということです。わたしはわたしの好きなように生きたかったし、その生き方を恋人に理解してもらうのが難しいこともわかった。いつかは結婚をしたいとも思うけれど、「まだ二十代の半ばなのだし」と焦りはまったくなく、ただ結婚までにやりたいことをやりきろうと考えたのでした。

 その頃は、セクハラ上司の元から離れて、同じ社内の男性グラビア誌の編集部に通っていました。華やかでやりがいもあり、同僚たちも面白い人ばかりでした。メインの収入はそこから得つつ、ライターとしてエロ本や実話誌などにちょこちょこと原稿を書いてギャラを得ていたので、以前より少しは余裕のある生活が出来るようになっていました。おまけに、ずっと夢だった小説の出版の話も来ていた。いまが楽しく、将来の展望も開けている。その頃のわたしは、充実感に溢れていました。

 新しく住む家は「新宿から歩いて帰れる場所」ということを重視して探し、初台のワンルームマンションに決めました。もともとはビジネスホテルだった少し変わった物件で、全室ワンルームの作り。洗濯機置き場がない代わりに、格安のコインランドリーが館内にあり、さらには、夏場しか入れないけれど屋外プールもありました。

 家族連れは一切住んでおらず、ほとんどが何かの事務所やオフィスとして使われています。だから夜になるとほとんど無人になることが、住んでしばらくしてわかりました。夜中に洗濯物を抱えて館内のコインランドリーに行くと、時たま黄色い作務衣を着た白髪の老女と居合わせるくらいで、それ以外の住人に会ったことはなく、「もしかしてこのマンションには、わたしとこの老女しか住んでいないのではないか」と考えることもありました。けれども、その寒々しさがむしろ、「女ひとりで都会に住んでいるぞ」という感じがして、わたしはとても気に入っていました。

ルックス最高の男が決意を翻させた

 出版社で働いて、夜更けまでゴールデン街で飲んで、ふらふらとビール片手に甲州街道を歩いて、都心の部屋に帰る。そんな生活にわたしはとても満足していました。「しばらくは特定の彼氏を作らずに遊ぶ」も実行していて、適当に知り合った男性とデートをしたりセックスをしたりして、それも楽しかった。けれど、自分で考えていたよりも早く、決意を翻すことになりました。

 わたしの決意を変えたのは、以前から顔見知りの男性でした。背が高くてガタイがよくて顔が好みだったので、ふとセックスをしてみたら、それも結構よかった。だから、会ってデートをしたりセックスをしたりするようになりました。相手は付き合いたがっていたけれど、わたしはいつも「しばらくは特定の彼氏を作らずに遊ぶから」と断っていました。

 それがある時、セックスの最中に「俺のこと好き?」と聞かれたのです。盛り下げるのもよくないと思い、「好き」と答えると、今度は「じゃあ、付き合ってよ」と言われました。そこは曖昧に流したつもりだったけれども、セックスが終わると、「じゃあ、これからは彼女ってことで」と念を押されました。そこまでされたことで、「こんなにもわたしと付き合いたがってるんだから、考えを変えてもいいのでは」と思った。なんせルックスが最高に好みなのです。

 その男性は、前の恋人ともその前の恋人とも、さらにその前の恋人とも違うタイプでした。港湾で働く肉体労働者で、おまけにバンドマンでした。しかもパンクス。どうですか、圧倒的にカッコよくないですか。漢って感じがムンムンにしませんか。

 今回のこの人も、わたしの生き方は到底理解してくれなさそうな気はしましたが、どっちにしてもこれまでだって、誰ひとりとして理解はしてくれなかった。だから、恋人にそれを期待するのはもうやめようと考えていました。居心地のいい部屋と、小さな贅沢なら出来る稼ぎを手に入れたわたしが、男性に求めたのは、顔とセックス。それがよければいいじゃないの! と、ある意味で男性との付き合いに絶望していたわたしのこの選択は、実は大間違いだったのでした。

――次週へ続く

Text/大泉りか

次回は<「2年経ったら結婚しよう」という言葉がわたしを6年縛り続けた>です。
自分を理解してくれない。嫉妬心が強くて束縛が強い。当然、会えば喧嘩ばかり。そんな恋人にもかかわらず、大泉りかさんが6年も交際していたのは、「付き合って2年経ったら結婚しよう」という呪いの言葉のせいでした。

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。
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