元彼が、若い女を「自分の思う女」に誘導するよくいるオジサンになっていた

心をざわつかせる元彼との再会

曇り空の下でこちらを見つめる男性の画像 Jose Hernandez

“元彼との再会”は、心をざわつかせるイベントです。まるで初めてのデートのように、「何を着ていくか、髪型は決まっているか、メイクがおかしくないか」と外見の演出に悩んでしまうし、「現在の自分がいかに成長したか、満足いく自分であるか、幸せであるか」を、知らしめたいとも考える。その上で、彼が「また心を寄せてくれたらどうしよう」だとか、反対に「彼がさらに魅力的になっていて、恋心が再燃したらどうしよう」などと、ひとり気持ちが先走ったりもする。

 初めて恋人と同棲することが決まって浮足立っていたわたしのもとに、わたしを「つまらない女」だと言って挑発したまま香港に行ってしまっていた元彼から、日本へ帰るという連絡が届きました。しかも、向こうで何をしでかしたのかはわかりませんが、パスポートと身の回りの荷物だけで逃げ帰って来るというのです。もともと地方出身の人だったので、東京に頼れる身内はおらず、次の仕事も決まっていないということでした。もちろん住む場所もなければ、敷金礼金を払うお金もない。当面はゲストハウスに住む予定だというので、その費用の十数万円を、わたしが貸すことになりました。

「男性にお金を貸す」ということに若干の迷いはありましたが、彼はまったくお金に汚くない人でした。むしろ酔っ払って「俺が出す!」とその場にいる全員の分を支払うくらいお金に執着のない人でもあったので、当然返ってくるに違いない、たとえ返ってこなくても、これまでおごってもらった分やなんだかんだを差し引けば、惜しくはないとも考えたのでした。