「好き」という感情だけで結婚すると……

 ……とはいうものの、わたしも結婚する前は、「夫は育児に参加してくれそうか」なんて一切考えたことのないボンクラでした。そもそも、子を作るか否か自体を決めていなかったし、わたしが結婚に求めていたのは「家族を作る」ということではなく「互いに人生のパートナーだと認め合い、さらにはそのことを、世間的に認知されること」でした。なので、結婚に踏み切るにあたり考えていたのは「旅行と外食と外出が好きなこの人とだったら、毎日楽しい日々が過ごせるんじゃないか」くらいのことです。

 だから、子供が夜泣きをしたときに「可愛い声だねぇ」と口にする人だなんて知ったのは、最近のこと。そういう意味では、ちょっとだけ運が良かったかもしれません。旅行と外食と外出が好きだけど、育児はまるっきりしない男性だった可能性だってあった。

 もちろん、最初から「結婚したら子供を産む」というはっきりした人生の指針を持っている女性は、結婚相手には父親となるに相応しい資質を持った人を探すのでしょう。
一方で、そういった策略なく、ただ「好き」という感情だけに後押しされて結婚する女性は、子供が生まれた時に、あれだけ愛おしかったはずの相手が粗大ごみ以下の存在に変わってしまう可能性もある。

 だからといって、前者になれ、と言っているわけではありません。わたしだって、前者にはなれないタイプです。ただ後者であっても、粗大ごみを拾わないようにはしたほうがいい。というわけで、仕事をする自分に被害者意識のある男性とだけは、結婚をするのは辞めておいたほうがいいと思います。

Text/大泉りか

次回は <「エロいこと」を仕事にしているわたしが結婚にたどりつくまで>です。
あなたが恋人に一番求める条件はなんですか?大泉りかさんの場合は、「エロいことを仕事にしているわたしを認めてくれること」。条件にかなわない人を好きになってはお互いに傷つく…そんな繰り返しの果てにようやく結婚にたどりつくまでの、闘争の記録が綴られ始めます。