夫に「子を産ませてくれるだけでいい」と詰め寄った女性へ…今ならそれもありだと言える

おなじ育児の当事者である夫

赤ちゃんを抱きかかえる母親の画像 Josh Willink

 いま思えば、産後の一ヶ月間はヤバかった。
比較的寝てくれる育てやすい子ではあったものの、それでも夜中に頻繁に起こされるので安眠はできず、起きていればいたで、降ろすと泣くためにエンドレス抱っこ。首の座っていないふにゃふにゃの新生児は触れるのも怖いのに、毎日キッチンの流しで沐浴をしなくてはならず、うっかり落としたりでもしたらどうなるかと、緊張で張り詰めた日々でした。心身ともに疲労困憊のあまり呆然自失し、傍らで泣きわめく我が子の声ではたと我に返り、慌てて抱き上げることもしょっちゅうで、こんな日々がいつまで続くのかと、とにかく途方に暮れる思いの毎日だったのです。

 里帰りもせず、実母の手伝いも頼めずの、極限ともいえる状況で頼りになったのは、やはり夫の存在でした。なんせわたしと同等に子育ての責任がある、唯一の人なのです。けれども、多くの男親にありがちなことに、うちの夫にも「子育てのメインは女親」という考えがあったようで、機嫌がいい時はあやしたり遊んだりしてくれるものの、泣いたら「あー、泣いちゃった、はい」とパスしようとしてくる。

 いやいやいや、それ違うだろ。「泣いてるからって、パスされたって、わたしだってどうしたらいいのかわからないから」と主張すると「僕よりも君のほうが、息子と長い時間一緒にいる分、泣き止まし方だって知ってるはず」と返ってきて大喧嘩。「あなたはサブではない。ゆえに、わたしと等しく子育ての当事者だという意識を持って、自分なりの泣き止ませ方を探ってほしい」とわたしは考えているわけですが、夫の主張からすると「母親には母乳という武器があるけど、父親にはないから出来ないこともある。サブにしかなれない」と、延々と平行線をたどるわけです。

 それでも「自分と同等に、育児する責任がある人」=「男親」が近くにいてくれるのは、ありがたいものです。授乳をしつつ「これが終わったらおむつを替えて保育園に持っていくオムツにお名前スタンプを押して着替えを入れて……」とめぐるましく段取りを考えている横でスマホゲームをされると、正直なところめちゃくちゃにイライラしますが、それでも、「おむつ替えと保育園の準備をしてくれる?」といざとなれば当たり前に負担をシェア出来る相手がそこにいるというのは心強い。「自分ひとりでやらなくてはならない」という状態は例えようもなく孤独ですし、それを感じずに済むというだけでも、ずいぶんと心の負担が軽くなるのです。