ピュアな恋と大人な恋

 ヘイリー・スタインフェルドが演じた新入部員・エミリーのフレッシュさは、ピュアな恋愛ドラマも生み出しました。前作『ピッチパーフェクト』でも活躍した“トレブルメーカーズ”のベンジー(ベン・プラット)が恋する相手となります。

 この恋愛模様がもう見ていて痒くなるほどピュアなもの。
前作からヲタク気質男子だったベンジーは、いざ惚れた相手ができると絵に描いたような不器用さであたふたしてしまい、そんな姿を笑いながらも心から応援したくなります。

柳下修平 ピッチ・パーフェクト2 映画 (C)Universal Pictures

 好きな子の前でうまく話せなくなる…
アカペラ歌ってたらいきなり愛を囁き始める…
海外の大会まで駆けつけちゃう…

 海外の大会まで駆けつけちゃうのは些かストーカーチックですが、エミリーは嫌がっていないようなので良しとしましょう。とにかくピュアで不器用男子なベンジーを母性でもくすぐられたかのように気に入っちゃうエミリーですが、確かにこういう男子は可愛いですし需要あるんでしょうね。

 一方、この映画では大人な恋愛も描かれます。それは主人公ベッカ(アナ・ケンドリック)とトレブルメーカーズのジェシー(スカイラー・アスティン)の恋です。前作『ピッチパーフェクト』では駆け引き的なドラマも見られましたが、本作では理想とする大人な恋愛関係を辿っていきます。

 多くを描かずして理想と思わせる雰囲気や、ジェシーの一歩引いた感が非常に好感。女性が何かを頑張ってる時に変に邪魔せず、心配もし過ぎず、適度な距離で応援できる余裕さが垣間見られました。

 前作と比べてジェシーの存在感は下がるものの、ベッカを陰ながらしっかりとサポートしているその見えない存在感がとても見どころです。