セフレにお祈りされて……

湯川亜美さん(大阪府)
<エピソード>
 無職だったころ、半年以上の仲のフリーデザイナーのセフレがいました。  ある日、彼から「恋人として付き合いたい」というニュアンスのことを言われました。でも、不安定な収入の彼と付き合うのは不安で、返事はしませんでした。
 その後、私は再就職の活動で忙しくなり、会うことも減りました。20社以上から不採用の「お祈りメール」をもらったものの、12月に就職が決定。自分の足場が固まったので、クリスマスの日に思い切って告白しました。
 ところが「君の事を好きだった。でも今は他に気になる人がいる」と。
 別れ際、駅の改札で立ち止まった彼は「誠に残念ですが、弊社としましては不採用で。就職も決められたようですし、今後のご活躍をお祈りしております」。 誰がうまいこと言えと?
 体の相性だけは良かったので、非常に残念です。

 あー、なんかもう、闇より濃い怨霊が深く深くあなたに巣食っていますね。  セフレにはセフレの仁義というものがあります。

(1)二股上等。相手を独占していいのは、セックスの最中だけ。

(2)口先主義。性的高揚感を求め合うためだけに「永遠の愛」を口にせよ。

(3)発展禁止。「恋人として付き合いたい」「結婚しよう」とか言い出さない。

 亜美さんの元セフレは、こういう仁義をことごとく守れていません。毛筆で大書して、彼の家の壁に貼っておきたいぐらいです。

「今は他に気になる人がいる」という言葉も、一見、誠実なように見えますが、ほんとうに誠実ならそもそもセフレ状態にはならないわけで、結局は自分を「間違いのない正しい人間」側に置きたいエゴに基づく発言でしょう。

 自分からはっきりと告白できないところとか、別れ際の冷淡な皮肉とかから察するに、自尊心が高い男なのだと思います。

 将来を考えたらこんな男とは別れて正解ですが、亜美さんの心は瘴気にむしばまれてしまいました。

 こういう割り切れない思いは、フタをするのではなく、見つめ続けて作品化してしまいましょう。