「フット・イン・ザ・ドア」という交渉術をつかえば、断られない

ヨツモト先生:もうひとつ、覚えておくといいのが“フット・イン・ザ・ドア”という交渉術。これは、セールスマンが営業で使う心理テクニックのひとつなんだ。

ニシイ助手:フット・イン・ザ・ドアって、セールスマンが「お話だけでも……」と言って訪問先に玄関を開けさせ、足を踏み入れてドアを閉められなくしちゃうことですよね。

ヨツモト先生:そうそう。それが転じて、最初に小さな頼みごとをしてイエスと言わせると、徐々に大きなお願いをしても受け入れてもらいやすく、最終的に本命の要求を通すことができるというテクニックを指すよ。

ニシイ助手:どうしてそんなことが可能なんですか?

ヨツモト先生:それはね、人間には“自分の言動に一貫性を持たせたい”という心理があるからなんだ。
「Aを受け入れたんだから、Bも承諾しないとおかしい。Bにオーケーしたのに、Cにノーとは言いづらい」という考えが働くんだね。…あ、A・B・Cといっても、いやらしい意味じゃないよ。

ニシイ助手:わかってます! これを女性とのメールにも応用できるということですね?

ヨツモト先生:その通り。話の流れもないのに、メールでいきなり「今度、食事でもどうですか?」と誘われたらどう思う?

ニシイ助手:「はい」とは言いづらいし、いきなり会いたがるなんてアヤシイな……と思っちゃいますね。

ヨツモト先生:それなら、次のようなやりとりを経て誘われるのはどうだい?

男性 「おいしいもの食べるのが趣味なんですね」
女性 「はい、そうなんです」
男性 「どんな料理が好きですか?」
女性 「イタリアンですね」
男性 「あ、イタリアンは僕も好きなんですよ」
女性 「ほんとですか!」
男性 「最近、A店とかB店っていう新しいお店ができたの、知ってます?」
女性 「ああ、話題になってますね」
男性 「どのお店が気になりますか?」
女性 「私はB店かな」
男性 「あ、僕もです! B店おいしそうですよね」
女性 「ええ、気になってました」
男性 「じゃあ今度、一緒に行きませんか?」
女性 「はい、ぜひ!」

ニシイ助手:ひとつひとつのメールには、同意したり、選択肢に答えているだけなので、無理やり誘われている気はしません。
むしろ、話題が盛り上がったから一緒に行く、という自然な流れになっていますね!

ヨツモト先生:このやりとりには、実はさりげなく共通の話題を提示したり、共感できるポイントに同意したりと、相手が気持ちよくなる要素が詰まっているんだ。

ニシイ助手:それに、イエスorノーを迫られる質問じゃなくて、選択肢を選ぶ聞き方をしてくれているので、まるで自分から進んで行きたがっているような気分になります。
「そのお店、気になってました」という“OKサイン”も出しやすいですしね。

ヨツモト先生:うん、そこで相手の反応があまりよくなければ、また別の話題を探ればいい。これなら男性にとっても、断られるダメージやリスクが少なくて済むと思うんだ。
さあ、次回はいよいよ、初デートの約束を取り付けて具体的な日時や場所を決めるポイントを考えていこう。

【「初対面では“安心感”と“清潔感”がマスト!」につづきます】

編集:福田フクスケ
イラストレーター:ながれださわ
協力/youbride(ユーブライド)    

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