ここで少し自己紹介を。今では恋愛作家・恋愛コラムニスト等、しゃらくさい肩書きをもつ私ですが、出自はコンプレックスをこじらせまくった喪女でした。
女子校から共学の大学に進んだ当初は男子とどう接していいかわからず、放送事故のように沈黙を貫いたかと思えば、渾身の自虐ギャグを放って血が凍るほどスベるなど「挙動不審なブス」を絵に描いたような存在だった。
そこから四苦八苦して見た目やコミュ力を向上させ、どうにか恋愛可能になったものの、今度は「ピッタリの一票」に出会えず七転八倒しました。というか五十七転五十八倒しました。
『59番目のプロポーズ』/著:アルテイシア/出版社:美術出版社
恋愛の戦場で地雷原に迷いこみ木っ端微塵に吹き飛ばされ、ビームライフルで射撃されて蜂の巣になり、全身に矢を受けて立ったまま立ち往生。
どの時代の戦争かよくわかりませんが、とにかく何度も傷つき死にかけては「まだだ、まだ終わらんよ!」と再生して、59番目の夫に出会ったのです。
それから10年の月日が流れて私は40歳になり、作家活動と結婚生活も10年を越えました。その間、オクテで不器用な男女に向けて恋愛・結婚コラムや相談コラムを書き続け、何万通ものメールを戴いてきました。その中には「初めて恋人ができました」「初めて付き合った人と結婚しました」等、嬉しい報告も多数ありました。
またプライベートでもお見合いババア的な活動を続けて、何組かのカップルを成立させました。実はメールのやりとりで仲良くなった男性読者と女友達を引き合わせ、ご成婚に至ったケースもあります。
我ながらなぜこんなに世話焼きなのか首をかしげますが、頼まれてもないのにアメちゃんを配る関西のオバハンのDNAも理由の1つでしょう。でも最大の理由は、自分が夫と結婚するまでに血ヘドを吐く思いをしたので、少しでも力になりたいからだと思います。
もちろん恋愛や結婚をすることが正解でもないし、人生の価値でもありません。周りを見ても、同世代の独身女子たちは楽しげにシングルライフを送っています。
某結婚相談所の『結婚できない人をゼロに』という広告に「消されると思った」との声があがりましたが、三十代前半女性の3人に1人が独身の昨今、結婚のプレッシャーも昔ほどは強くない。
ひと昔前は「いい年した娘が嫁にもいかずみっともない、恥だ」と消されかねない勢いでしたが、経済的に自立して友人もいて趣味もある彼女らは「べつに結婚しなくていいじゃない」と周りにも言われています。
が、「結婚しなくていい、と自分で選んだわけじゃないからさ」と本人たちは言います。 「選択的シングルじゃなく、なしくずしシングルだから。今の人生も悪くないけど、結婚も出産もする別の人生もあったかもと想像すると、もっと頑張っとけばよかったと思う」「一生独身で子どももいらないと自分で決めたわけじゃないから、モヤモヤが残るんだろうね」と語る彼女ら。
きっと自分で選んだ道なら、どんな道でも後悔なくスッキリと進めるのでしょう。