王道モテで雑魚を狙うと本命に出会えない

アル: 私も「女子アナみたいなキャラを目指すべきか?」と血迷った時期がありました。
恋愛記事も「男を立てろ、男に媚びろ」「都合のいい女になれ」ってアドバイスが多いじゃないですか?
でも「それで雑魚を釣っても仕方ない!」と開き直った方が、本命に出会えると思う。

S: うん。就職も結婚も自分を偽っていたら、本当にマッチするパートナーに出会えないから。
…たとえば僕でいうと、媚びる女性とか苦手だし。ボディタッチとかされると引いてしまう。

アル: オクテ男子のATフィールドが全開に(笑)。

S: そうだなあ。男っぽい、サッパリした女性の方がいいなあ。

アル: 票田を見つけるのって大事ですよね。
私の場合、インテリやオタク男子の方が合うと気づいたんです。彼らは王道モテ系よりも私みたいな女を好きになってくれる。しかも女っ気がないので「ブルーオーシャン発見!」みたいな。

S:そういう人達とはどこで出会ったの?

アル:飲み屋が多いです、夫とも近所のバーで出会ったし。
彼らはオクテだから、こっちから話しかけて連絡先も聞かなきゃダメだけど、そこは酔った勢いも利用して。

S:お酒の場はいいよね。僕もプライベートで女性と話すのは緊張するから、お互い酔っている方がリラックスできる。綺麗な女性だと特に緊張するし。

アル:なんで?

S:やっぱり「自分なんか相手にされないかも」って考えるし…。

アル: そこが謎なんですよ。Sさんは超エリートでハイスペックなのに、「僕はつまらない人間だから」とか言うでしょ?
私、ブリッコしているんだと思ってました(笑)。

S: ブリッコじゃないよ。
社会的な評価が自己評価に繋がらないというか…経歴とかスゴイと言われても「しょせん灘の落ちこぼれだし、大したことない」と自分では思っている。

 だからアルの言っていたパンの話にも共感した。自分がパン屋だとしたら「こんな不味いパンを買いにくる客などいらぬ」と顧客を逃しちゃうって話。
僕も昔は自分なんか相手にしない人が好きだったから。

アル:Sさんはこじらせ女子なのか。

S: 一応性別は男だけど(笑)、こじらせてはいるかも。

アル:どこでこじらせたんですか?

S: まあ男子校出身だし、図書館で哲学書を読むオタクだったし。

アル:女子とまったく接点はなかった?

S: なかった。小学校の同級生の女子に疑似的な思慕の情を抱いて、出さないラブレターを書いたりしていたよ。

アル:オナニーですね(笑)!

S:うん。で、哲学から心理学に興味をもって精神世界にどっぷり浸かって、京大に入った。

アル:よかったですね、オウム真理教とかに入らなくて(笑)。

S:そうそう、僕オウム世代だからね。
それで京大に入ってから、女優をしている先輩を好きになった。絶対に手の届かない、神秘的で遠い存在の人。

アル:よく知らない人の方が理想を投影できますもんね。

S:うん。その先輩は彼氏もいたけど、自分がいかにその人を好きかが重要で、相手の気持ちは関係なかったから。その先輩の家の周りをウロウロしたりしたなあ。

アル:ストーカーだったんですか。

S:当時ストーカーって言葉はなかったけど(笑)。
その後、玉砕覚悟で告白したけどもちろん振られて。でもあえて負け戦に挑むというか、負けの美学というか…。

アル:私、負けの美学を語っていいのは力石とジョーだけだと思う。

S:あはは(笑)。ほんと中二病だよね。ていうか、今も中二かもしれないけど。

アル:オッサンのくせに中二ぶる人も「ピュアな少年心アピールしてんじゃねえよ」とイラつきます。あ、Sさんはかわゆいですけどね。Sさんはかわゆい。

S:二回言わなくていいよ(笑)。