自分より弱い男には甘えられない

アル: 私は自分の男にだけは甘えたいし、守られたいんですよ。
その1人の前でだけは鎧を脱いで、生身の弱い自分をさらけ出したい。
…これには共感する女性も多いと思うんですけど。

 でも、自分より弱い男には甘えられないじゃないですか?
私の不幸は、自分より強い男がいなかったこと。

AM: ああ…アルさん強いですもんね。すごく男らしいし。

アル: 9割方の人に言われるから、そうなんでしょうな。
私は毒親育ちで早くに自立したから、強くならざるをえなかったのもあります。

 あと広告業界という魑魅魍魎の世界でヤクザみたいな客を相手にしてたら、ドスがきいてくるんですよ。
ちっさいことでオロオロしてる男を見ると「しっかりせえや!」とどつきたくなってしまう。

AM: それはわかるかも(笑)。社会に出ると女の方がしっかりしていて「男って情けない」と思う機会が多いです。

アル:一方的に守ってほしいわけじゃなく、お互いに守りたいんですよね。でも男が弱いと「ワシが守ってばっかりやないか!」になってしまう。

AM: なぜ男が弱いんでしょうか?

アル: もともと男社会で守られていたし。
それに男の方がビビりだと思う。プライドが高いから失敗を恐れるんでしょうな。

 女の方が好奇心から新しい世界に飛びこんで、そこで打たれて強くなる。人間、打たれないと強くならないから。男子は猿岩石のように放浪の旅に出かけて、HP(ヒットポイント)を上げてほしいです。

AM: そんな中、旦那さんは強かったんですよね?

アル:他は0点だけど、そこだけはズバ抜けていました。
夫に「私は男らしいとよく言われる」と言ったら「どこが?男らしいっていうのは、神取忍みたいな人を言うんだよ」と返ってきた。

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AM: 神取忍(笑)。 旦那さんにとって、アルさんは“守らなきゃいけない女の子”だったんですね。

アル: そうなんでしょうな。
付き合う前、うちの毒親の話をしたんです。大抵の男は引くけど、夫は一切動じずに「僕が守らなければ誰がアルさんを守るんですかー!!」と怒鳴られました。

AM: 感動的ですね…!

アル: いや、ジャック・バウワーみたいな剣幕だったから、殺されるかと思った(笑)。でもまあ、口先だけで言ってるんじゃないなと。
元彼たちも「俺が守る」とか言ってくれたけど「あんたに守れんのかよ、客からクレームきただけでヘコんでるくせによ。毒親ナメんじゃねえぞ」と思っていたから。

 夫は父親のDVが原因で両親が離婚して、女手一つで育てられたんですね。父親にはずっと会ってないらしく。
それで「親に捨てられた的なトラウマはあるの?」と聞いたら、「全然。キン肉マンなんて、豚と間違われて宇宙船から捨てられたんだぞ」と返ってきました。

AM: 最強ですね!

アル: 変わってますよね。
でも、タフなのは確かだなと。過酷な減量で即身仏みたいになっても、一切愚痴も吐かないし。そういう姿を見ていると多少の不満は気にならない。「足が臭くてもまあいっか」って。

AM: 足が臭いんですか?

アル: 臭い。あと夫は生まれてから一度も顔を洗ったことがないらしい。

AM: 一度も?!

アル: シャンプーを流す時に顔も洗浄されるからいい、という理屈だそうです。
私も不潔でびっくりしたけど…でもラオウがこまめに洗顔してたらイヤでしょ、プロアクティブとか使って(笑)。