少女マンガに登場するステキな王子様に胸をときめかせていたあの頃??いつか自分も恋をしたい。そんな風に思いながら、イイ男とは何か、どんなモテテクが効果的なのか、少女マンガを使ってお勉強していたという人も少なくないハズ。
時は流れ大人になっても、少女マンガによって植え付けられた恋愛観や理想の王子様像は、そう簡単に劣化するものではありません。むしろ王子様の亡霊に取り憑かれて、リアルな恋愛がしょぼく思える人もいたり? この連載では、新旧さまざまなマンガを読みながら、少女マンガにおける王子様像について考えていきます。
王子様候補がたくさん!人生を粘り強く乗り越える男たち『3月のライオン』
将棋ブームがとんでもないことになっております。若き天才、藤井聡太四段による怒濤の29連勝は、歴代単独1位! 連勝ストップを残念がる声もあるようですが、14歳で29連勝という記録はやっぱりすごいです(自分14歳のときなんて、おやつとかアイドルのことしか考えてなかった)。そして、ひふみんこと加藤一二三九段の個性的すぎる言動と、かわいいおじいちゃんぶりは、凡百のゆるキャラをはるかに凌ぐものです。
闘う男だけど、マッチョすぎない。天才だけど、なんだかとっても親しみやすい。そんな棋士の魅力に遅まきながら気づいてしまってもう後戻りできない! と思っている方も多いのではないでしょうか。
でも、2007年から『3月のライオン』の連載を、読んでいた方たちは「ようやく気づいたか! フハハ!」という感じかも知れません。かくいうわたしも、同作を読んで、将棋のルールよりも先に、棋士がいかにチャーミングな生き物かを学んだクチです。
作者が『ハチミツとクローバー』を手がけた羽海野チカ先生ですから、個性的&魅力的な男子を描くのがお得意なのは当然……だとしても、未成年から、ヨレヨレのご老人まで、多種多様の棋士たちを描き分けつつ、みんなを愛すべき人物として描いているのは、やはり感動的です。
「ただしイケメンに限る」じゃなくて、非イケメンすらかっこいい。その意味で『3月のライオン』は王子様候補だらけのマンガなのです。