「頼もしい」とは人生を粘り強く乗り越える男のこと

 零が大人×子どもの心でひなたを愛する一方で、川本家の長女「あかり」は、ふたりの男性から真剣にアプローチされそうな予感。

 ひとりめは、零の高校の先生「林田」。将棋好きがきっかけで零との距離を縮め、なんだかなんだと世話を焼く兄のような存在です。が、零としては、もっとしっかりした男とあかりをくっつけたい様子(まあ、親分タイプの零から見たら、たいていの男がヤワですよね)。
でも、よい教員の特質である忍耐強さとか、適度な明るさとか、悩んでいる人をそれとなく導く技術とかは、あかりを支える力になりそう。

 そしてふたりめは、零と同じ将棋の世界に生きる男「島田」です。大変な苦労人で、胃痛持ち、あとちょっと頭髪が薄くなってきています。そう書いてしまうと、身も蓋もない感じですが(笑)、男子としての魅力はともかく、器のでかさはピカいちです。
とくに、零のライバルにして親友「二階堂」の体調を気遣う優しさは、血の繋がった親子以上のものを感じさせます(二階堂は、 故・村山聖九段をモデルにしていると言われており、持病を抱えながら将棋道を突き進む様子は胸に迫ります)。決して派手ではありませんが、そっと見守り手助けすることのできる男です。

 この先、ひなたが零を好きになるかはわかりませんし、あかりが林田もしくは島田とくっつくかもわかりません。しかし、『3月のライオン』には、将棋に人生を捧げつつも、他人の人生に寄り添える、サポート上手な王子様がこんなにいる……
「頼もしい」って、ガタイの良さとか、経済力だけで決まるものではありません。人生の山あり谷ありを、それこそ将棋のように、時間をかけて、頭を使って、粘り強く乗り越えていく男たちもまた、頼れる王子様なのです。

Text/トミヤマユキコ

次回は<働く主夫こそ“王子様”!劔樹人『今日も妻のくつ下は、片方ない。 妻の方が稼ぐので僕が主夫になりました』>です。
「王子様」というと、少女マンガに出てくるようなキラキラとした男性が思い浮かびますよね。しかし、今回ご紹介するのは劔樹人さんのコミックエッセイ『今日も妻のくつ下は、片方ない。 妻の方が稼ぐので僕が主夫になりました』。トミヤマユキコさんが力説する「主夫の王子様」その魅力とは…?